当院におけるBRCA病的バリアント保持者の再発乳癌に対するオラパリブの治療経験

2018年7月,BRCA病的バリアント保持者の進行再発乳癌患者の治療においてpoly adenosine diphosphate ribose polymerase(PARP)阻害薬であるオラパリブが薬事承認された.同時に,BRCA遺伝学的検査はオラパリブのコンパニオン診断の位置づけとなった.さいたま赤十字病院では,2018年6月〜2019年4月に38人のBRCA遺伝学的検査を行い,7名に病的バリアントを確認し,うち5名にオラパリブによる治療を行った.前治療のレジメン数にはよらず,全例に効果が得られた.5例中3例で1年以上治療効果が得られ継続中であるが,2例が半年でprogressive di...

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Published in遺伝性腫瘍 Vol. 21; no. 2; pp. 47 - 52
Main Authors 末國, 久美子, 有澤, 文夫, 樋口, 徹, 齊藤, 毅, 林, 祐二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会 31.08.2021
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ISSN2435-6808
DOI10.18976/jsht.21.2_47

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Summary:2018年7月,BRCA病的バリアント保持者の進行再発乳癌患者の治療においてpoly adenosine diphosphate ribose polymerase(PARP)阻害薬であるオラパリブが薬事承認された.同時に,BRCA遺伝学的検査はオラパリブのコンパニオン診断の位置づけとなった.さいたま赤十字病院では,2018年6月〜2019年4月に38人のBRCA遺伝学的検査を行い,7名に病的バリアントを確認し,うち5名にオラパリブによる治療を行った.前治療のレジメン数にはよらず,全例に効果が得られた.5例中3例で1年以上治療効果が得られ継続中であるが,2例が半年でprogressive disease(PD)に転じ, ほかの治療への変更を余儀なくされた.副作用として,貧血を3例,消化器症状を1例に認めたがオラパリブの減量は必要なかった.副作用が制御可能で治療効果も期待できるため,治療を継続し得るHER2陰性進行再発乳癌患者には遺伝学的検査を選択肢として示すべきであると考える.また,効果が長く続かない患者が一定数存在し,オラパリブがPDとなった患者への次なる治療法の検討が必要である.
ISSN:2435-6808
DOI:10.18976/jsht.21.2_47