社交不安症に関する脳画像研究の最前線
本稿では,社交不安症(SAD)の脳構造と機能に関する研究について概説した。脳構造に関する研究では,SAD患者は扁桃体,海馬などの灰白質体積が小さいことに加えて,鉤状束における白質の構造的異常が報告されている。脳機能に関する研究では,スピーチ課題や否定的な顔表情に対して,SAD患者の扁桃体が過活動になることが一致した結果である。薬物療法や認知行動療法(CBT)によって,辺縁系および前頭前野領域の機能に変化が生じる。CBTに対する治療反応性の予測には,扁桃体などの皮質下領域でなく,視覚野や前頭前野(背外側,腹外側部)の皮質領域が関与する。また,安静時では扁桃体―眼窩皮質のネットワーク異常が示されて...
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          | Published in | 不安症研究 Vol. 7; no. 1; pp. 52 - 63 | 
|---|---|
| Main Authors | , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本不安症学会
    
        2015
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 2188-7578 2188-7586  | 
| DOI | 10.14389/jsad.7.1_52 | 
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| Summary: | 本稿では,社交不安症(SAD)の脳構造と機能に関する研究について概説した。脳構造に関する研究では,SAD患者は扁桃体,海馬などの灰白質体積が小さいことに加えて,鉤状束における白質の構造的異常が報告されている。脳機能に関する研究では,スピーチ課題や否定的な顔表情に対して,SAD患者の扁桃体が過活動になることが一致した結果である。薬物療法や認知行動療法(CBT)によって,辺縁系および前頭前野領域の機能に変化が生じる。CBTに対する治療反応性の予測には,扁桃体などの皮質下領域でなく,視覚野や前頭前野(背外側,腹外側部)の皮質領域が関与する。また,安静時では扁桃体―眼窩皮質のネットワーク異常が示されている。これらの研究結果から,SADの脳病態に恐怖・不安に関わる辺縁系(扁桃体,海馬,前帯状皮質など)―前頭前野領域(腹内側部など)の構造および機能異常があると推察できる。 | 
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| ISSN: | 2188-7578 2188-7586  | 
| DOI: | 10.14389/jsad.7.1_52 |