同種骨髄移植後後期に慢性移植片対宿主病を伴わない免疫性血小板減少症を発症した原発性骨髄線維症の一例

HLA一致非血縁ドナーより同種骨髄移植を受けた46歳の原発性骨髄線維症の男性。移植後の血小板数は3×104/μl台で安定していたが,移植後199日目に感染や慢性移植片対宿主病(GVHD)を伴わず,急性の経過で0.7×104/μlまで低下した。好中球減少や貧血は認めず,末梢血のキメリズム解析では完全ドナー型を維持しており,二次性の生着不全は否定された。脾腫の増大も認めなかった。血小板輸血に反応せず,抗HLA抗体は陰性であったが,抗GPIIb/IIIa抗体が検出された。PAIgGの上昇も認め,免疫性血小板減少症(ITP)と診断した。prednisolone 1mg/kgで治療を開始し,治療開始7日...

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Published in日本造血細胞移植学会雑誌 Vol. 3; no. 4; pp. 114 - 119
Main Authors 河村, 俊邦, 佐藤, 謙, 山村, 武史, 小林, 真一, 木村, 文彦, 渡邉, 純一, 前川, 隆彰, 武, 純也, 小林, 彩香, 加藤, 章一郎, 堀内, 俊克, 彦田, 玲奈
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本造血細胞移植学会 2014
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ISSN2186-5612
DOI10.7889/hct.3.114

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Summary:HLA一致非血縁ドナーより同種骨髄移植を受けた46歳の原発性骨髄線維症の男性。移植後の血小板数は3×104/μl台で安定していたが,移植後199日目に感染や慢性移植片対宿主病(GVHD)を伴わず,急性の経過で0.7×104/μlまで低下した。好中球減少や貧血は認めず,末梢血のキメリズム解析では完全ドナー型を維持しており,二次性の生着不全は否定された。脾腫の増大も認めなかった。血小板輸血に反応せず,抗HLA抗体は陰性であったが,抗GPIIb/IIIa抗体が検出された。PAIgGの上昇も認め,免疫性血小板減少症(ITP)と診断した。prednisolone 1mg/kgで治療を開始し,治療開始7日目より血小板数が増加した。同種移植後のITPの多くはGVHD等が関与しており,しばしば治療抵抗性である。本症例は他の免疫反応を伴わず治療反応性も良好であった。病態を検討する上で重要な症例と考えたため,文献的考察を加え報告する。
ISSN:2186-5612
DOI:10.7889/hct.3.114