ダイオキシン類・ポリ塩化ビフェニル曝露と糖尿病との関連 疫学研究の知見より

「1. はじめに」残留性有機汚染物質(POPs: Persistent Organic Pollutants)とは, 難分解性で環境中に残留し, 大気や水などを介して広範囲に拡散・移動し, 食物連鎖などを通じて生物の体内に蓄積され, 人の健康や生態系に影響を及ぼす性質を有する汚染物質を指す. POPsは急性毒性や発がん性だけでなく, 内分泌撹乱化学物質(EDC: Endocrine Disrupting Chemical)として生殖毒性や免疫毒性を示すことが報告されている. 残留性が高く, 長距離移動性を有するPOPsによる汚染を防ぐためには, 地球規模での対策が必要となる. そこで, 200...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 67; no. 3; pp. 363 - 374
Main Author 上村, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2012
日本衛生学会
Subjects
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ISSN0021-5082
1882-6482
DOI10.1265/jjh.67.363

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Summary:「1. はじめに」残留性有機汚染物質(POPs: Persistent Organic Pollutants)とは, 難分解性で環境中に残留し, 大気や水などを介して広範囲に拡散・移動し, 食物連鎖などを通じて生物の体内に蓄積され, 人の健康や生態系に影響を及ぼす性質を有する汚染物質を指す. POPsは急性毒性や発がん性だけでなく, 内分泌撹乱化学物質(EDC: Endocrine Disrupting Chemical)として生殖毒性や免疫毒性を示すことが報告されている. 残留性が高く, 長距離移動性を有するPOPsによる汚染を防ぐためには, 地球規模での対策が必要となる. そこで, 2001年5月にスウェーデンのストックホルムで, 環境中での残留性が高いポリ塩化ビフェニル(PCBs: polychlorinated biphenyls), ダイオキシンやフランなど12の物質の削減や廃絶などに向けた「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」が採択され, 日本も2002年8月にこの条約を締結している.
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.67.363