Pierre Robin Sequence児の呼吸管理方法の検討
Pierre Robin Sequence(以下PRSと略)は,小顎症に由来する舌根沈下,呼吸障害を主症状とする症状群であり,重症例では出生直後から呼吸管理を必要とすることもある.しかし,PRSの小顎症には明確な定義がないため,診断基準や呼吸管理方法にも未だ定まった見解があるとはいえない.今回われわれは,静岡県立こども病院形成外科を受診したPRS児36例の初診時日齢紹介理由,家族歴,合併症,入院時日齢,入院日数治療方針について遡及的に検討し,当院における呼吸管理方法の指針を検討した.口蓋裂は全例に合併していた.その他の合併症を持つPRS(s-PRSと略)児は9例(25.0%)と従来の報告とほぼ...
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Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 33; no. 3; pp. 280 - 289 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
30.10.2008
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Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate1976.33.3_280 |
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Summary: | Pierre Robin Sequence(以下PRSと略)は,小顎症に由来する舌根沈下,呼吸障害を主症状とする症状群であり,重症例では出生直後から呼吸管理を必要とすることもある.しかし,PRSの小顎症には明確な定義がないため,診断基準や呼吸管理方法にも未だ定まった見解があるとはいえない.今回われわれは,静岡県立こども病院形成外科を受診したPRS児36例の初診時日齢紹介理由,家族歴,合併症,入院時日齢,入院日数治療方針について遡及的に検討し,当院における呼吸管理方法の指針を検討した.口蓋裂は全例に合併していた.その他の合併症を持つPRS(s-PRSと略)児は9例(25.0%)と従来の報告とほぼ一致していた.入院加療を必要とした症例は16例(44.4%)で,そのうち気管内挿管や外科的処置を必要とした症例は5例のみ(気管内挿管3例,うち1例が気管切開.舌固定,舌小帯切開を各1例)で,最近10年間は外科的処置を行っていなかった.保存的治療で管理した児と外科的処置を行った児の間では入院日数に有意差はなかった.s-PRS児と合併症のないPRS(ns-PRSと略)児の間で入院時日齢や入院日数に有意差はなかった.外科的処置を必要とする可能性が高いと考えられるs-PRS児の発生率はあまり高くないことと,大半の症例は保存的治療で症状が改善したことから,PRS児に対する呼吸管理方法は保存的治療を第一選択とすべきであると考えられた. |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate1976.33.3_280 |