深頸部膿瘍33例の検討

深頸部膿瘍は頸部の疎性結合組織の間隙に膿瘍を形成する疾患である。今回我々は北見赤十字病院頭頸部・耳鼻咽喉科で過去10年間に経験した33例(男性25人,女性8人,0歳–99歳,中央値61歳)の深頸部膿瘍例を臨床的に検討したのでその結果を報告する。初診までの病悩期間の中央値は3日(1–7日),5例(15.2%)で基礎疾患に糖尿病が見られた。気管切開を施行したのは10例(30.3%)であった。舌骨下への進展は21例(63.6%)で見られ,8例(24.2%)において感染区画数が6区画以上であった。14例(42.4%)でStreptococcus anginosus group(SAG)と嫌気性の混合感...

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Published in日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 Vol. 2; no. 2; pp. 41 - 47
Main Authors 坂東, 伸幸, 林, 達哉, 和田, 哲治, 原渕, 保明, 久保田, 瑛進, 石田, 芳也, 佐藤, 遼介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会 2022
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ISSN2435-7952
DOI10.24805/jiaio.2.2_41

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Summary:深頸部膿瘍は頸部の疎性結合組織の間隙に膿瘍を形成する疾患である。今回我々は北見赤十字病院頭頸部・耳鼻咽喉科で過去10年間に経験した33例(男性25人,女性8人,0歳–99歳,中央値61歳)の深頸部膿瘍例を臨床的に検討したのでその結果を報告する。初診までの病悩期間の中央値は3日(1–7日),5例(15.2%)で基礎疾患に糖尿病が見られた。気管切開を施行したのは10例(30.3%)であった。舌骨下への進展は21例(63.6%)で見られ,8例(24.2%)において感染区画数が6区画以上であった。14例(42.4%)でStreptococcus anginosus group(SAG)と嫌気性の混合感染が見られた。舌骨下進展の有無,炎症が波及した間隙が6区画以上,SAGと嫌気性菌との混合感染が見られた場合,気管切開が必要になる傾向があった。舌骨下の間隙への膿瘍波及の有無,SAGと嫌気性菌の混合感染の有無が長期入院の独立した危険因子として検出された。
ISSN:2435-7952
DOI:10.24805/jiaio.2.2_41