One Health と保全医学 -日本野生動物医学会20 年のあゆみ

1995年に設立した日本野生動物医学会は20周年を迎え,毎年の大会開催や学会誌およびニュースレターの発行に加え,認定専門医協会の設立,スチューデントセミナーコースの開催,感染症専門家の現地派遣,アジア野生動物医学会のサポート,各種ガイドラインの制定など,活発な活動を続けている。この20年間に野生動物に関連する出来事は数多くみられ,例えば環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)の影響,ワシ類の鉛中毒の発生,ツキノワグマの人里への大量出没,トキやコウノトリの野生復帰,高病原性鳥インフルエンザの発生などは社会の関心も高かった。これらの問題に対応する学問として保全医学が台頭し,今やOne Healthと同...

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Published in日本野生動物医学会誌 Vol. 20; no. 2; pp. 27 - 33
Main Author 坪田, 敏男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本野生動物医学会 30.06.2015
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ISSN1342-6133
2185-744X
DOI10.5686/jjzwm.20.27

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Summary:1995年に設立した日本野生動物医学会は20周年を迎え,毎年の大会開催や学会誌およびニュースレターの発行に加え,認定専門医協会の設立,スチューデントセミナーコースの開催,感染症専門家の現地派遣,アジア野生動物医学会のサポート,各種ガイドラインの制定など,活発な活動を続けている。この20年間に野生動物に関連する出来事は数多くみられ,例えば環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)の影響,ワシ類の鉛中毒の発生,ツキノワグマの人里への大量出没,トキやコウノトリの野生復帰,高病原性鳥インフルエンザの発生などは社会の関心も高かった。これらの問題に対応する学問として保全医学が台頭し,今やOne Healthと同じコンセプトとして重要な学際的分野として注目を集めている。今後もこの分野の重要性はますます高まるものと予想され,日本野生動物医学会の発展とともに他関連組織との連携を深めながら生物多様性の保全に貢献していくことが社会から求められている。
ISSN:1342-6133
2185-744X
DOI:10.5686/jjzwm.20.27