左冠動脈主幹部近傍に突出した大動脈弁左冠尖の贅腫による冠動脈塞栓を繰り返した感染性心内膜炎の1例
1時間前からの胸痛で徒歩受診した75歳男性.ST上昇型急性心筋梗塞で緊急造影を施行した.左前行枝(LAD)中枢の完全閉塞に対し冠動脈形成術を行い,白色の塞栓子を吸引し再灌流したが広範な梗塞をきたした.初診時より発熱はないがCRP上昇あり,高度の大動脈弁狭窄および左冠尖に付着し左主幹部まで突出する約10mm大の贅腫様エコーを認めた.吸引した塞栓子の病理所見で連鎖球菌と白血球貪食像あり,血液よりStreptcoccus salivariusが検出され,感染性心内膜炎および冠動脈塞栓症と診断した.早期手術を検討したが,微小ながらくも膜下出血と脳梗塞あり内科的治療を継続した.11病日に心室頻拍から心静...
Saved in:
| Published in | Shinzo Vol. 49; no. SUPPL.1; pp. S1_137 - S1_142 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益財団法人 日本心臓財団
28.08.2017
Japan Heart Foundation |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
| DOI | 10.11281/shinzo.49.S1_137 |
Cover
| Summary: | 1時間前からの胸痛で徒歩受診した75歳男性.ST上昇型急性心筋梗塞で緊急造影を施行した.左前行枝(LAD)中枢の完全閉塞に対し冠動脈形成術を行い,白色の塞栓子を吸引し再灌流したが広範な梗塞をきたした.初診時より発熱はないがCRP上昇あり,高度の大動脈弁狭窄および左冠尖に付着し左主幹部まで突出する約10mm大の贅腫様エコーを認めた.吸引した塞栓子の病理所見で連鎖球菌と白血球貪食像あり,血液よりStreptcoccus salivariusが検出され,感染性心内膜炎および冠動脈塞栓症と診断した.早期手術を検討したが,微小ながらくも膜下出血と脳梗塞あり内科的治療を継続した.11病日に心室頻拍から心静止となり,経皮的心肺補助装置(PCPS)を挿入し造影したところLADが閉塞しており,贅腫が再度吸引された.PCPSは離脱できたが脳梗塞,心筋梗塞含む多発塞栓症,心原性ショックにより23病日死亡した.急性期の早期診断と確定診断後の治療方針に苦慮した例であり,剖検結果の提示を含め報告する. |
|---|---|
| ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
| DOI: | 10.11281/shinzo.49.S1_137 |