リンパ節転移との鑑別に苦慮した小腸間膜神経鞘腫の1例
症例は71歳,女性.便潜血反応陽性を指摘され当院を受診した.下部消化管内視鏡検査で横行結腸左側に全周性の2型腫瘍による高度狭窄を認めbridge to surgery目的で大腸ステントを留置,後日再検で盲腸に1型腫瘍を認めた.CTで横行結腸腫瘍付近の腸間膜に長径約40mmの腫瘤を認め転移性リンパ節腫大を疑った.腹腔鏡下拡大結腸右半切除術を施行,術前に認めた腸間膜腫瘤は小腸間膜腫瘤と判明し可動性があり体外操作にて核出術を施行した.小腸間膜腫瘤は紡錘型核を有する線維状細胞の増生からなる腫瘍でAntoni A型とB型が混在する粗密構造を示し核異型を認めず分裂像も認めなかった.免疫組織化学検査でS-1...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 78; no. 4; pp. 183 - 190 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本大腸肛門病学会
2025
The Japan Society of Coloproctology |
Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.78.183 |
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Summary: | 症例は71歳,女性.便潜血反応陽性を指摘され当院を受診した.下部消化管内視鏡検査で横行結腸左側に全周性の2型腫瘍による高度狭窄を認めbridge to surgery目的で大腸ステントを留置,後日再検で盲腸に1型腫瘍を認めた.CTで横行結腸腫瘍付近の腸間膜に長径約40mmの腫瘤を認め転移性リンパ節腫大を疑った.腹腔鏡下拡大結腸右半切除術を施行,術前に認めた腸間膜腫瘤は小腸間膜腫瘤と判明し可動性があり体外操作にて核出術を施行した.小腸間膜腫瘤は紡錘型核を有する線維状細胞の増生からなる腫瘍でAntoni A型とB型が混在する粗密構造を示し核異型を認めず分裂像も認めなかった.免疫組織化学検査でS-100(+),SMA(-),CD34(-)で神経鞘腫と診断した.小腸間膜神経鞘腫は稀で自験例を含め22例の報告を認め,癌併発症例は自験例を含め2例に過ぎなかった.本疾患について文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.78.183 |