センチネルリンパ節および非センチネルリンパ節の分布パターンと病理学的解析―late T2/3N0 口腔扁平上皮癌に対する SN lymphatic basin dissection の妥当性
「はじめに」: 口腔癌における頸部リンパ節転移は予後を左右する重要な因子である. 臨床的に転移を認めない例でも頸部郭清を行わない場合, 後に約20~30%の症例で頸部リンパ節後発転移を認める. 臨床的N0(cN0)口腔癌に対しwatchful waiting法か, 予防郭清を行うかは長年議論されてきたが, いまだコンセンサスは得られていない. 2015年のD'Cruzらによる大規模無作為比較試験で, 予防郭清を受けたcN0口腔癌患者は, watchful waiting法を受けた患者よりも生存成績が良好であった. しかし転移を認めなかった約70%の症例では結果的に頸部郭清は不要であり...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 126; no. 12; pp. 1358 - 1360 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
20.12.2023
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 |
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ISSN | 2436-5793 2436-5866 |
DOI | 10.3950/jibiinkotokeibu.126.12_1358 |
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Summary: | 「はじめに」: 口腔癌における頸部リンパ節転移は予後を左右する重要な因子である. 臨床的に転移を認めない例でも頸部郭清を行わない場合, 後に約20~30%の症例で頸部リンパ節後発転移を認める. 臨床的N0(cN0)口腔癌に対しwatchful waiting法か, 予防郭清を行うかは長年議論されてきたが, いまだコンセンサスは得られていない. 2015年のD'Cruzらによる大規模無作為比較試験で, 予防郭清を受けたcN0口腔癌患者は, watchful waiting法を受けた患者よりも生存成績が良好であった. しかし転移を認めなかった約70%の症例では結果的に頸部郭清は不要であり, 併発する合併症および後遺症, 医療経済的な観点を考慮すると, より正確な頸部転移に対する治療戦略が求められる. 近年口腔癌におけるセンチネルリンパ節生検法(SNB)がこれらの問題を解決できる治療法として期待されている. SNBの最も問題となるのは偽陰性症例であるが, この原因となる最も重要な要素はセンチネルリンパ節(SN)が転移陰性であり, SNではないリンパ節(非SN)が転移陽性となるSN(-), 非SN(+)である. |
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ISSN: | 2436-5793 2436-5866 |
DOI: | 10.3950/jibiinkotokeibu.126.12_1358 |