傍腫瘍性神経症候群 Up–to–Date
「はじめに」担癌者に生じる, 癌転移や感染症, 栄養・代謝障害, その他の要因によらない神経症候群(傍腫瘍性神経症候群: paraneoplastic neurologic syndrome: PNS)が, 自己免疫的機序による可能性が考えられたのは1980年代である. 合併腫瘍と神経症候群に密接に関わる自己抗体が次々に見出され, 抗体が診断に極めて有用と認識された. また, これらの抗体の多くが細胞内蛋白を認識するため(onconeural antibodies), 神経傷害には直接関わらず, 実際の攻撃因子はTリンパ球(cytotoxic T cells: CTL)と考えられている. 近年...
        Saved in:
      
    
          | Published in | 神経治療学 Vol. 40; no. 3; pp. 385 - 390 | 
|---|---|
| Main Author | |
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本神経治療学会
    
        2023
     | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0916-8443 2189-7824  | 
| DOI | 10.15082/jsnt.40.3_385 | 
Cover
| Summary: | 「はじめに」担癌者に生じる, 癌転移や感染症, 栄養・代謝障害, その他の要因によらない神経症候群(傍腫瘍性神経症候群: paraneoplastic neurologic syndrome: PNS)が, 自己免疫的機序による可能性が考えられたのは1980年代である. 合併腫瘍と神経症候群に密接に関わる自己抗体が次々に見出され, 抗体が診断に極めて有用と認識された. また, これらの抗体の多くが細胞内蛋白を認識するため(onconeural antibodies), 神経傷害には直接関わらず, 実際の攻撃因子はTリンパ球(cytotoxic T cells: CTL)と考えられている. 近年, 神経のシナプス関連受容体や細胞膜表面で神経機能に関わる蛋白を標的とする自己抗体の発見が相次いでいる. 抗体陽性例の多くは自己免疫性脳炎の病像を呈するが, 中には悪性腫瘍を合併する抗体もあり, 抗体を悪性腫瘍の合併頻度で分類するようになった. また, PNSの発症に関して, 腫瘍側・宿主側の要因, 免疫修飾薬による自己免疫賦活の関与など, さまざまな面から研究が進んでいる. | 
|---|---|
| ISSN: | 0916-8443 2189-7824  | 
| DOI: | 10.15082/jsnt.40.3_385 |