カテーテル型軸流血液ポンプに用いる磁性流体軸シールの開発

背景と目的:大動脈弁位置埋込み軸流型補助人工心臓の経カテーテル設置化にはポンプ外径を8mm以下にする必要がある.しかし,軸シールを必要としない第2世代ポンプでの実現は難しく,第1世代ポンプ化が避けられない.そこで,本研究では,第1世代ポンプとするカテーテル設置式軸流ポンプ用に新たに磁性流体軸シールの開発を行った.方法:開発した磁性流体軸シールは外径4mm×長さ3mmで,外径モータ回転軸に永久磁石を装着し円筒状磁性体の中を回転させる構造とすることで,従来に我々が開発してきた磁性流体軸シールの回転軸の磁性材料化やポールピース構造を回避し,製作が容易な構造とした.また,注入する磁性流体の量が耐圧に影...

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Published in生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 263
Main Authors 三田村, 好矩, 関根, 一光, 岡本, 英治, 矢野, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2020
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual58.263

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Summary:背景と目的:大動脈弁位置埋込み軸流型補助人工心臓の経カテーテル設置化にはポンプ外径を8mm以下にする必要がある.しかし,軸シールを必要としない第2世代ポンプでの実現は難しく,第1世代ポンプ化が避けられない.そこで,本研究では,第1世代ポンプとするカテーテル設置式軸流ポンプ用に新たに磁性流体軸シールの開発を行った.方法:開発した磁性流体軸シールは外径4mm×長さ3mmで,外径モータ回転軸に永久磁石を装着し円筒状磁性体の中を回転させる構造とすることで,従来に我々が開発してきた磁性流体軸シールの回転軸の磁性材料化やポールピース構造を回避し,製作が容易な構造とした.また,注入する磁性流体の量が耐圧に影響を与えず,磁性流体注入も容易であることが特徴である.結果:有限要素法磁場解析の結果,従来のポールピース構造をもつ同寸法磁性流体軸シールの耐圧が理論上562mmHgに対し,簡易製作型磁性流体軸シールは理論上432mmHgの耐圧となった.現在,圧力115mmHgを印加し回転速度8000rpmで耐久試験を行っており,2019年12月末現在で120日以上の耐久性を示しており,実験を継続して行っている.結語:カテーテル設置式軸流型血液ポンプ用に開発した製作容易型磁性流体軸シールは,人工心臓用非接触軸シールとして良好な特性を有している.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual58.263