稀少なD--血液型の急性骨髄性白血病に対する血縁者間末梢血幹細胞移植

D--血液型は非常に希なRh系血液型で,日本人での頻度は20万人に1人とされる。輸血や妊娠などの免疫刺激により,高頻度抗原であるRh17抗原に対する抗体を産生しやすく,溶血性輸血副作用の原因となる。このたび本血液型の症例に血縁者間末梢血幹細胞移植を行った。症例は26歳男性で,AML with t (8; 21) (q22; q22)と診断したが,中枢神経浸潤と髄外白血病を伴っており,第一寛解期にHLA一致同胞から末梢血幹細胞移植を行った。赤血球製剤の確保が困難であり,移植に備えて自己血貯血を行った。生着は速やかで自己血以外の赤血球輸血を必要としなかった。移植後約5ヶ月で,血液型はドナー型となり...

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Published in日本造血細胞移植学会雑誌 Vol. 3; no. 3; pp. 93 - 96
Main Authors 岡村, 郁恵, 小倉, 和外, 池田, 宇次
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本造血細胞移植学会 2014
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ISSN2186-5612
DOI10.7889/hct.3.93

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Summary:D--血液型は非常に希なRh系血液型で,日本人での頻度は20万人に1人とされる。輸血や妊娠などの免疫刺激により,高頻度抗原であるRh17抗原に対する抗体を産生しやすく,溶血性輸血副作用の原因となる。このたび本血液型の症例に血縁者間末梢血幹細胞移植を行った。症例は26歳男性で,AML with t (8; 21) (q22; q22)と診断したが,中枢神経浸潤と髄外白血病を伴っており,第一寛解期にHLA一致同胞から末梢血幹細胞移植を行った。赤血球製剤の確保が困難であり,移植に備えて自己血貯血を行った。生着は速やかで自己血以外の赤血球輸血を必要としなかった。移植後約5ヶ月で,血液型はドナー型となり不規則抗体は陰性化した。造血幹細胞移植症例における不規則抗体の頻度や移植に及ぼす影響に関する報告は僅かで,とくにD--血液型の症例に同種移植を行い得た報告はない。貴重な症例を経験したため報告する。
ISSN:2186-5612
DOI:10.7889/hct.3.93