ウィルス感染症の超早期診断用POCTマイクロデバイスの開発
近年アフリカなど発展途上国では、エボラ熱など劇症感染を簡単に検出する技術が求められている。LAMP法は、サンプルを一定温度で加熱するのみで、標的となるウィルスDNA、RNAの発現解析が可能な手法である。しかし従来装置は電気的制御が必須であるが、発展途上国には無電化地域が多く、使用が困難である。本発表では一切の電気的な加熱を用いない新たな核酸発現解析手法「Non-Electric Control LAMP (NEC-LAMP)」の開発を行った。物質が液体~固体間に相転移している間、その物質の温度は、融点で維持される。本性質を利用し、融点がLAMP法の反応温度付近の物質を潜熱材として用いる事で、電...
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Published in | 生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 349 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2020
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual58.349 |
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Summary: | 近年アフリカなど発展途上国では、エボラ熱など劇症感染を簡単に検出する技術が求められている。LAMP法は、サンプルを一定温度で加熱するのみで、標的となるウィルスDNA、RNAの発現解析が可能な手法である。しかし従来装置は電気的制御が必須であるが、発展途上国には無電化地域が多く、使用が困難である。本発表では一切の電気的な加熱を用いない新たな核酸発現解析手法「Non-Electric Control LAMP (NEC-LAMP)」の開発を行った。物質が液体~固体間に相転移している間、その物質の温度は、融点で維持される。本性質を利用し、融点がLAMP法の反応温度付近の物質を潜熱材として用いる事で、電気的制御を一切用いず、LAMP法を実行する事に成功した。本デバイスは1度に16サンプルの同時発現解析を可能とする。サンプル量は200 nlで反応可能であり、これは従来装置に必要な量の約1/100である。さらに本デバイス操作は極めてシンプルであり、患者自らが検査操作可能である。本デバイスを用い、2時間以上、反応温度の維持に成功した。また実際に、デングウィルスRNAの検出実験を行ったところ、デングウィルスRNAを含むサンプルでのみ反応が生じ、反応特異性及び実用性を確認できた。以上より、無電化地域でも反応解析が可能な、新概念のデバイスシステムの開発に成功した。 |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual58.349 |