下側壁誘導のJ波増高に伴い心室細動をきたしたBrugada症候群の1例

症例は39歳男性. 2014年○月午前2時半頃, 就寝中に瀕死期呼吸をしているところを妻が発見し救急要請となった. 救急車内にて自動体外式除細動器 (AED) が作動, 以後は洞調律となり当院搬送された. 頭部CTに明らかな異常所見はなく, 緊急冠動脈造影上も有意狭窄を認めなかった. 右側胸部誘導の上位肋間心電図ではcoved型を呈しBrugada症候群と診断した. CCU入室後, 低体温療法 (34°C) を開始した. 開始後, 0.1mVのJ波を側壁誘導に認め, 次第に下壁誘導にも認め0.9mVまで増高した. 心室性期外収縮 (VPC) の出現頻度が高まり, R on Tから心室細動 (V...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inShinzo Vol. 47; no. SUPPL.2; pp. S2_204 - S2_211
Main Authors 中村, 玲奈, 山分, 規義, 平岡, 昌和, 中野, 国晃, 藤井, 洋之, 櫻田, 春水, 増田, 怜, 李, 基鎬, 高宮, 智正, 清水, 雅人, 羽田, 泰晃, 島田, 博史, 飯谷, 宗弘, 西﨑, 光弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
Japan Heart Foundation
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.S2_204

Cover

More Information
Summary:症例は39歳男性. 2014年○月午前2時半頃, 就寝中に瀕死期呼吸をしているところを妻が発見し救急要請となった. 救急車内にて自動体外式除細動器 (AED) が作動, 以後は洞調律となり当院搬送された. 頭部CTに明らかな異常所見はなく, 緊急冠動脈造影上も有意狭窄を認めなかった. 右側胸部誘導の上位肋間心電図ではcoved型を呈しBrugada症候群と診断した. CCU入室後, 低体温療法 (34°C) を開始した. 開始後, 0.1mVのJ波を側壁誘導に認め, 次第に下壁誘導にも認め0.9mVまで増高した. 心室性期外収縮 (VPC) の出現頻度が高まり, R on Tから心室細動 (Vf) に移行, 体外式除細動器 (DC) 150Jにて停止した. DC施行後, J波は一旦消失したが再度出現, 徐々に減高し, isoproterenol (ISP) 開始後消失した. 経過中は34°Cの低体温で一定, 酸素化良好, 代謝性アシドーシス進行や血清K値低下は認めなかった. 以後, ISP中止後も含めてJ波の出現はなく, 上位肋間心電図でcoved型を呈していたが, 現在までVfの再発はなく経過している. Brugada症候群におけるVf出現前後の経過において, J波の経時的変化が観察し得た貴重な1例であり文献的考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.S2_204