視覚探索における注視点の軌跡が示すスモールワールド性の検証
【目的】ヒトが視覚を用いて選択肢の中からターゲットを探す動作を視覚探索と呼ぶ.視覚探索に要する時間は選択肢の数に対数比例することが知られる(ヒックの法則).すなわち,選択肢の増加に対して探索時間が長くならないように探索が効率化されている.我々は,視覚探索時の注視点の軌跡が紡ぐネットワークがスモールワールド性を持ち,任意の2点の注視点間距離が小さくなることで探索時間が増大しないのではないかという仮説を提唱した.本研究ではこの仮説を検証するため,視覚探索実験によって得られたデータから注視点の動きを二次元モデルで再現し,構成されたネットワークの特徴を分析した.【方法】表示された複数の文字からターゲッ...
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Published in | 生体医工学 Vol. Annual58; no. Abstract; p. 379 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2020
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual58.379 |
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Summary: | 【目的】ヒトが視覚を用いて選択肢の中からターゲットを探す動作を視覚探索と呼ぶ.視覚探索に要する時間は選択肢の数に対数比例することが知られる(ヒックの法則).すなわち,選択肢の増加に対して探索時間が長くならないように探索が効率化されている.我々は,視覚探索時の注視点の軌跡が紡ぐネットワークがスモールワールド性を持ち,任意の2点の注視点間距離が小さくなることで探索時間が増大しないのではないかという仮説を提唱した.本研究ではこの仮説を検証するため,視覚探索実験によって得られたデータから注視点の動きを二次元モデルで再現し,構成されたネットワークの特徴を分析した.【方法】表示された複数の文字からターゲット1文字を探し,その間の注視点移動特性を計測する実験を行った.そこで得たデータから,固視微動(小さい動き)とサッカード(大きい動き)の出現比を変化させた37通りの注視点移動シミュレーションを行い,それぞれでネットワークを構成・分析した.【結果】固視微動とサッカードの出現比が実験値に近いとき,ネットワークが相対的に大きなスモールワールド性を持つことを確認した.今後は,スモールワールドネットワーク上を動く注視点の動きをモデル化し,注視点モデルが短時間でターゲットを見つける可能性を検証する.その際には,周辺視などの要素もシミュレーションで取り入れることが課題となる. |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual58.379 |