心室頻拍停止2日後にT波変化が最大となった心筋メモリー (cardiac memory) の1例

症例は31歳, 男性. 平成25年6月, 気分不快が半日以上持続したため前医を受診し, wide QRS頻拍 (心拍数200/分, 北西軸右脚ブロック型) が認められ, 当院へ救急搬送となった. 頻拍はATPの急速静注では変化なく, その後自然停止した. 頻拍停止後, Ⅱ, Ⅲ, aVF, V5-6で顕著なT波の陰転化, aVL, V1-3でT波の増高が認められ, この変化は2日後に最大となり, その後徐々に軽減しながら1カ月以上残存した. 心エコーでは左室壁運動異常なく, 冠動脈CTでも冠動脈に有意狭窄を認めず, 虚血性心疾患は否定的であり, このT波変化は心筋メモリーによるものと判断した....

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Published inShinzo Vol. 46; no. SUPPL.3; pp. S3_139 - S3_143
Main Authors 宇野, 剛輝, 小菅, 玄晴, 中田, 耕太郎, 吉田, 純, 久保田, 健之, 山根, 禎一, 板倉, 良輔, 宮永, 哲, 山田, 崇之, 工藤, 敏和, 清水, 光行, 吉村, 道博, 鈴木, 健一朗, 小武海, 公明, 木村, 悠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.S3_139

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Summary:症例は31歳, 男性. 平成25年6月, 気分不快が半日以上持続したため前医を受診し, wide QRS頻拍 (心拍数200/分, 北西軸右脚ブロック型) が認められ, 当院へ救急搬送となった. 頻拍はATPの急速静注では変化なく, その後自然停止した. 頻拍停止後, Ⅱ, Ⅲ, aVF, V5-6で顕著なT波の陰転化, aVL, V1-3でT波の増高が認められ, この変化は2日後に最大となり, その後徐々に軽減しながら1カ月以上残存した. 心エコーでは左室壁運動異常なく, 冠動脈CTでも冠動脈に有意狭窄を認めず, 虚血性心疾患は否定的であり, このT波変化は心筋メモリーによるものと判断した. 頻拍は左室起源の特発性心室頻拍と考えられ, ベラパミル内服にて8カ月間再発なく経過している.  心室頻拍停止直後ではなく, 2日後にT波変化が最大となり, 1カ月以上残存した心筋メモリーの症例を経験した. T波変化の極性は心室頻拍の極性と方向が一致しており, 頻拍停止後でも心筋メモリーを利用して心室頻拍の極性を予測できることがあると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.S3_139