左室側壁の大きな陳旧性心筋梗塞巣を起源とする複数の単形性心室頻拍を高周波カテーテルアブレーションで根治できた1例

症例は80歳代男性,2012年に持続性心室頻拍があり,薬物療法と両心室ペーシング機能付き埋没型除細動器(CRT-D)埋め込みが施行された.2015年3月に約160bpmのVTと,約130bpmのVTが記録されたため,当院で高周波カテーテルアブレーションを行った.治療開始時に右脚ブロック右軸変位,150-160bpmの近似したVT1,VT2が誘発されたが,血行動態的にunmappableだった.Substrate mapを作成したところ,左室側壁基部から心尖部に及ぶ0.6mV以下の広範な低電位領域が示された.低電位領域内のpace mappingでは,基部側前壁寄りの複数の部位でlatencyな...

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Published inShinzo Vol. 48; no. SUPPL.2; pp. S2_159 - S2_165
Main Authors 前野, 健一, 世古, 哲哉, 堀口, 昌秀, 笠井, 篤信, 高村, 武志, 坂部, 茂俊, 刀根, 克之, 伊藤, 弘将, 海野, 航平, 泉, 大介, 後藤, 至
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 30.12.2016
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.48.S2_159

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Summary:症例は80歳代男性,2012年に持続性心室頻拍があり,薬物療法と両心室ペーシング機能付き埋没型除細動器(CRT-D)埋め込みが施行された.2015年3月に約160bpmのVTと,約130bpmのVTが記録されたため,当院で高周波カテーテルアブレーションを行った.治療開始時に右脚ブロック右軸変位,150-160bpmの近似したVT1,VT2が誘発されたが,血行動態的にunmappableだった.Substrate mapを作成したところ,左室側壁基部から心尖部に及ぶ0.6mV以下の広範な低電位領域が示された.低電位領域内のpace mappingでは,基部側前壁寄りの複数の部位でlatencyなくVT2に約90%一致するQRSが得られ,VT2のexitは周辺に位置すると推察された.ここから低電位領域を後側壁に縦断するように線状焼灼したが,途中右脚ブロック左軸偏位,約120bpmのVT3が発生した.Activation mapを描くと,低電位領域内の基部側やや後壁寄りに最早期興奮部位があり,ここでのpacingではconcealed fusionが得られpost pacing intervalはcycle lengthに一致し,また刺激-QRS時間が局所-QRS時間に一致した.この部位における通電でVT3は停止した.このあと周囲の複数個所で,刺激-QRS時間46-136msecでVT3に95%以上一致するQRSが得られたため焼灼ラインを延長した.治療後7か月間VTはみられない.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.S2_159