呼吸管理と栄養改善により手術可能となった高度の低肺機能の進行胃癌の1例

症例は52歳,女性. COPDにて在宅酸素療法中であったが,幽門狭窄胃癌の診断で当院へ入院した.入院時の呼吸機能検査では著しい呼吸機能低下のため手術を延期し,薬物療法,理学療法を行った.しかし, 2週間後の呼吸機能はやや改善を認めたものの手術可能な状態ではなかった.そのため,狭窄部に気道用ステントを留置しADLの拡大を図った.約3カ月間通常の生活にて呼吸訓練を行った結果,手術可能な状態まで呼吸機能は改善したため,幽門側胃切除術を行った.術直後に抜管可能であり,術後合併症なく退院した. COPD患者の周術期管理については,薬物療法,理学療法,栄養管理,落痛管理などさまざまな面から検討がなされてい...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 9; pp. 2168 - 2172
Main Authors 池田, 佳史, 森田, 直巳, 戸張, 正一, 冲永, 功太, 高山, 純一, 高見, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.09.2005
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.2168

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Summary:症例は52歳,女性. COPDにて在宅酸素療法中であったが,幽門狭窄胃癌の診断で当院へ入院した.入院時の呼吸機能検査では著しい呼吸機能低下のため手術を延期し,薬物療法,理学療法を行った.しかし, 2週間後の呼吸機能はやや改善を認めたものの手術可能な状態ではなかった.そのため,狭窄部に気道用ステントを留置しADLの拡大を図った.約3カ月間通常の生活にて呼吸訓練を行った結果,手術可能な状態まで呼吸機能は改善したため,幽門側胃切除術を行った.術直後に抜管可能であり,術後合併症なく退院した. COPD患者の周術期管理については,薬物療法,理学療法,栄養管理,落痛管理などさまざまな面から検討がなされている.今回,幽門狭窄により栄養管理とADLの低下が問題となった症例に対して,理学療法と消化管ステント挿入によるADL拡大により,安全に手術を施行しえた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.2168