ヒト腎を用いた腎灌流保存装置の安全性試験

「I. はじめに」Belzerらは腎臓を用いて, 移植臓器に保存液を機械によって循環させるという技術を考案し, 1969年頃からこの研究を行い臨床応用が果たした. 一方, わが国では小崎らが1980年代に同様の研究を行い, やはり臨床応用を果たしている. しかしEuro Collins液に代わり, Belzerらが開発したUW液が登場すると, 腎臓の保存方法は簡便な単純冷却法で十分と考えられ, 低温持続灌流保存方法はごく一部の施設でしか行われないものとなっていった. ところが世界的に深刻なドナー不足が起こり, その解決策の一つとしてドナーの適応拡大の方向となった. 特に心停止ドナーは欧州を中心...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 55; no. 4; pp. 415 - 420
Main Authors 古川, 博之, 武井, 英博, 合地, 美香子, 堀, 淳一, 松野, 直徒, 谷野, 美智枝, 石井, 大介, 柿崎, 秀宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2020
日本移植学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.55.4_415

Cover

More Information
Summary:「I. はじめに」Belzerらは腎臓を用いて, 移植臓器に保存液を機械によって循環させるという技術を考案し, 1969年頃からこの研究を行い臨床応用が果たした. 一方, わが国では小崎らが1980年代に同様の研究を行い, やはり臨床応用を果たしている. しかしEuro Collins液に代わり, Belzerらが開発したUW液が登場すると, 腎臓の保存方法は簡便な単純冷却法で十分と考えられ, 低温持続灌流保存方法はごく一部の施設でしか行われないものとなっていった. ところが世界的に深刻なドナー不足が起こり, その解決策の一つとしてドナーの適応拡大の方向となった. 特に心停止ドナーは欧州を中心にドナー数の増加が見込まれている. 2001年United Network Organ Sharing (UNOS) は腎ドナーの基準の拡大に着手し, それまで漠然と語られてきたマージナルドナーという言葉を定義化した.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.55.4_415