心臓移植登録患者の待機中死亡に関する全国調査—臓器配分システム改定への考察

「I. 背景」わが国における脳死からの臓器移植は1999年に法整備の基で開始されたが, 心臓移植が軌道に乗ったのは2010年の法改正以後である. その後, 植込型左室補助人工心臓(left ventricular assist device, LVAD)の急速な進歩と移植医療への導入によりBridge to Transplantation(BTT)が主体となり, 待機状態は様変わりしている. 2019年9月現在で心臓移植数は484例と500例に近くなったが, 一方で待機患者は777例, 待機期間も3年を超える状況である. 法改正後移植数は増えたとはいえ年間移植数は100例に達しないという厳しい...

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Published in移植 Vol. 54; no. 6; pp. 291 - 298
Main Author 松田, 暉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2019
日本移植学会
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.54.6_291

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Summary:「I. 背景」わが国における脳死からの臓器移植は1999年に法整備の基で開始されたが, 心臓移植が軌道に乗ったのは2010年の法改正以後である. その後, 植込型左室補助人工心臓(left ventricular assist device, LVAD)の急速な進歩と移植医療への導入によりBridge to Transplantation(BTT)が主体となり, 待機状態は様変わりしている. 2019年9月現在で心臓移植数は484例と500例に近くなったが, 一方で待機患者は777例, 待機期間も3年を超える状況である. 法改正後移植数は増えたとはいえ年間移植数は100例に達しないという厳しいドナー不足の状況である. 待機期間の更なる延長も避けらない状況になかで, 待機中死亡が少なくなく, このような状況でいわゆるマージナルレシピエントへのマージナルドナーの使用も増加傾向にあり, さらにLVADの合併症によりリストから除外される例も少なくない.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.54.6_291