膵島分離用酵素の変更とドナー背景の変化が臨床膵島分離成績に与える影響の検討
「I. はじめに」重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病患者に対する移植治療として, 膵島移植が注目されている. 膵島移植は低侵襲で安全性が高い移植治療でありながら, 血糖値の安定化と重症低血糖発作からの解放をもたらしQOLを改善しうる. 一方, インスリン離脱を得るためには複数回の移植を要し, 長期生着率にはいまだ改善の余地があると考えられている. 膵島移植において良好な成績を得るためには, ドナーから提供された膵臓からViabilityの高い膵島を数多く分離することが前提となる. 膵島分離の工程の中で, 膵島分離用酵素 (コラゲナーゼ) は, 膵島の収量や質に大きな影響を及ぼす因子であ...
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Published in | 移植 Vol. 55; no. 4; pp. 407 - 413 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2020
日本移植学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.55.4_407 |
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Summary: | 「I. はじめに」重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病患者に対する移植治療として, 膵島移植が注目されている. 膵島移植は低侵襲で安全性が高い移植治療でありながら, 血糖値の安定化と重症低血糖発作からの解放をもたらしQOLを改善しうる. 一方, インスリン離脱を得るためには複数回の移植を要し, 長期生着率にはいまだ改善の余地があると考えられている. 膵島移植において良好な成績を得るためには, ドナーから提供された膵臓からViabilityの高い膵島を数多く分離することが前提となる. 膵島分離の工程の中で, 膵島分離用酵素 (コラゲナーゼ) は, 膵島の収量や質に大きな影響を及ぼす因子である. 本邦においては, 2007年まではLiberase HI (ロシュ社) を膵島分離用酵素として使用していた. しかしLiberase HIの製造工程で使用される微生物の培養液中にウシ脳神経抽出物が添加されていることが判明し, プリオン病感染のリスクが完全に否定できないことから, その販売が中止され, 同時にわが国の臨床膵島移植も一時的に停止した. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.55.4_407 |