頻拍誘発時第1拍目の逆伝導のみが副伝導路によるSupernormal conductionによる機序と推察された通常型房室結節回帰性頻拍の1例
症例は50歳代, 女性. 発作性上室性頻拍症 (PSVT) による動悸発作にて臨床心臓電気生理学的検査を施行. 無投薬下の心室期外刺激法ではHis束A波を最早期興奮部位とした1本の減衰した逆伝導のみ観察され, 高位右房も含めた電気的プログラム刺激ではPSVTは誘発されなかった. ISP負荷の高位右房期外刺激法で一定の連結間隔 (S1S2 220~240msec) でJumping-up現象を伴わずPSVTが誘発され, 刺激S2直後の心房エコー波は心室期外刺激で観察された逆伝導に比しより短縮した伝導時間で, 異なる心房内興奮伝導であった. その心房エコー波出現後のAH間隔は50msec以上の突然...
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Published in | Shinzo Vol. 47; no. SUPPL.2; pp. S2_35 - S2_42 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2015
Japan Heart Foundation |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.47.S2_35 |
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Summary: | 症例は50歳代, 女性. 発作性上室性頻拍症 (PSVT) による動悸発作にて臨床心臓電気生理学的検査を施行. 無投薬下の心室期外刺激法ではHis束A波を最早期興奮部位とした1本の減衰した逆伝導のみ観察され, 高位右房も含めた電気的プログラム刺激ではPSVTは誘発されなかった. ISP負荷の高位右房期外刺激法で一定の連結間隔 (S1S2 220~240msec) でJumping-up現象を伴わずPSVTが誘発され, 刺激S2直後の心房エコー波は心室期外刺激で観察された逆伝導に比しより短縮した伝導時間で, 異なる心房内興奮伝導であった. その心房エコー波出現後のAH間隔は50msec以上の突然の延長を認め, 房室結節内の順行性遅伝導路乗り換えが示唆された. 無投薬下の傍His束ペーシングによる逆伝導時間はHis束A波が最早期興奮部位であり, NarrowQRS<WideQRSであったが, ISP負荷後逆伝導時間がNarrowQRS=WideQRSであることから潜在性副伝導路による逆伝導が示唆された. 一方, PSVTは頻拍開始から2拍目以降の逆伝導がHis束A波を最早期興奮部位に変化し, 頻拍周期より短い心室頻回ペーシングで逆伝導時間が減衰することから, 通常型房室結節回帰性頻拍 (AVNRT) が示唆された. PSVTは遅伝導路電位 (SPP) を指標とした焼灼後誘発されず, 半年間動悸発作を認めていない. 以上, 頻拍誘発時第1拍目の逆伝導のみが副伝導路によるSupernormal conductionによる機序が推察された通常型房室結節回帰性頻拍の1例を経験し比較的稀な症例と思われ, 若干の文献学的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.47.S2_35 |