視線を運動部位に向けることで脊髄前角細胞の興奮性は増大する 視線追跡装置を用いた検討
運動観察において, 視線の動向が脊髄前角細胞の興奮性に及ぼす影響について視線追跡装置とF波を用いて検討した。健常成人31名を対象に, 座位で右尺骨神経刺激により右小指外転筋から安静時のF波を導出した。4分間の休息後, 映像を提示し視線追跡装置で視線の動向とF波を測定した。映像課題は母指以外の4指の屈曲運動 (課題A) と小指の屈曲運動 (課題B) を用い, 各課題にて自由観察条件と注視条件を設けた。統計学的解析には振幅F/M比相対値と映像上に設定した小指の興味領域内に留まった停留時間を用いた。振幅F/M比相対値, 停留時間ともに課題Aの自由観察条件と比較し課題Aの注視条件, 課題Bの両条件で高...
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| Published in | 臨床神経生理学 Vol. 51; no. 3; pp. 89 - 95 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
01.06.2023
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| ISSN | 1345-7101 2188-031X |
| DOI | 10.11422/jscn.51.89 |
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| Summary: | 運動観察において, 視線の動向が脊髄前角細胞の興奮性に及ぼす影響について視線追跡装置とF波を用いて検討した。健常成人31名を対象に, 座位で右尺骨神経刺激により右小指外転筋から安静時のF波を導出した。4分間の休息後, 映像を提示し視線追跡装置で視線の動向とF波を測定した。映像課題は母指以外の4指の屈曲運動 (課題A) と小指の屈曲運動 (課題B) を用い, 各課題にて自由観察条件と注視条件を設けた。統計学的解析には振幅F/M比相対値と映像上に設定した小指の興味領域内に留まった停留時間を用いた。振幅F/M比相対値, 停留時間ともに課題Aの自由観察条件と比較し課題Aの注視条件, 課題Bの両条件で高値を示した。課題Aは課題Bに比べ視覚的情報量が多く, 自由観察条件では小指に視線は向かず脊髄前角細胞の興奮性は変化しなかった。つまり, 運動部位を注視することが脊髄前角細胞の興奮性を高める要素と推察する。 |
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| ISSN: | 1345-7101 2188-031X |
| DOI: | 10.11422/jscn.51.89 |