心房端の電気的隔離術により根治に成功した心外膜側後中隔副伝導路の1例

症例は31歳, 女性. 動悸発作を伴うWPW症候群にて他院で2回アブレーションを施行するも不成功であった. 心臓電気生理検査では後中隔副伝導路を介する順方向性房室回帰性頻拍が容易に誘発された. 洞調律中の検討では, 副伝導路の心室付着部位は中心静脈 (MCV) の遠位部で冠静脈 (CS) との分岐部より約25mm離れていた. また, MCV内では洞調律中および右室ペーシング中に心房波と心室波の間にケント電位が記録された. しかしMCV内ではインピーダンス高値のため通電は断念した. 次に右室ペーシング中の最早期心房興奮部位を検討したところ, CS入口部底部からその右房側に比較的広範に認められた....

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Published inShinzo Vol. 41; no. SUPPL.4; pp. S4_18 - S4_26
Main Authors 大江, 透, 西井, 伸洋, 田中, 正道, 草野, 研吾, 平松, 茂樹, 伊藤, 浩, 永瀬, 聡, 森田, 宏, 村上, 正人, 多田, 毅, 中川, 晃志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.41.S4_18

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Summary:症例は31歳, 女性. 動悸発作を伴うWPW症候群にて他院で2回アブレーションを施行するも不成功であった. 心臓電気生理検査では後中隔副伝導路を介する順方向性房室回帰性頻拍が容易に誘発された. 洞調律中の検討では, 副伝導路の心室付着部位は中心静脈 (MCV) の遠位部で冠静脈 (CS) との分岐部より約25mm離れていた. また, MCV内では洞調律中および右室ペーシング中に心房波と心室波の間にケント電位が記録された. しかしMCV内ではインピーダンス高値のため通電は断念した. 次に右室ペーシング中の最早期心房興奮部位を検討したところ, CS入口部底部からその右房側に比較的広範に認められた. 心房端が広く存在することが予想され, 同部の電気的隔離を目的としてまずCS入口部側を焼灼し, 次に三尖弁-下大静脈峡部を線状焼灼すると, 副伝導路の両方向性伝導途絶が初めて得られた. 心房付着部の電気的隔離により根治に成功した心外膜側後中隔副伝導路の1例を報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.S4_18