冠動脈起始異常と先天性QT延長症候群を合併し失神を繰り返した若年男児の1例

症例は失神を繰り返す9歳男児.既往歴に気管支喘息,冠動脈起始部異常がある.前医での遺伝子診断で先天性QT延長症候群Type1(LQT1)と診断されベータ遮断薬等内服中であった.母と兄もLQTと診断されている.20XX年12月就寝中に嘔気と胸痛を訴え失神し当院に救急搬送.心電図ではQTc 630と著明に延長し,LQTのハイリスク群であったが,来院時の心電図で致死性不整脈は認めず,入院後も失神や不整脈は認めなかった.運動負荷心電図では安静時broad-based typeなT波形であったが,負荷後は二峰性のT波となった.運動負荷心筋シンチグラムでは心筋虚血は認めなかった.植込み型ループ式心電計(I...

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Published inShinzo Vol. 49; no. SUPPL.1; pp. S1_38 - S1_42
Main Authors 酒井, 孝志郎, 中村, 友哉, 小貫, 龍也, 河村, 光晴, 猪口, 孝一郎, 近藤, 誠太, 安達, 太郎, 小林, 洋一, 小川, 洸, 松井, 泰樹, 越智, 明徳, 後閑, 俊彦, 箕浦, 慶乃, 渡辺, 則和, 浅野, 拓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 28.08.2017
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.S1_38

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Summary:症例は失神を繰り返す9歳男児.既往歴に気管支喘息,冠動脈起始部異常がある.前医での遺伝子診断で先天性QT延長症候群Type1(LQT1)と診断されベータ遮断薬等内服中であった.母と兄もLQTと診断されている.20XX年12月就寝中に嘔気と胸痛を訴え失神し当院に救急搬送.心電図ではQTc 630と著明に延長し,LQTのハイリスク群であったが,来院時の心電図で致死性不整脈は認めず,入院後も失神や不整脈は認めなかった.運動負荷心電図では安静時broad-based typeなT波形であったが,負荷後は二峰性のT波となった.運動負荷心筋シンチグラムでは心筋虚血は認めなかった.植込み型ループ式心電計(ILR)によるモニタリングのうえ,LQT1の男児であることを考慮し,完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)植込み術を施行し,現在も厳重な経過観察をしている.失神の原因として冠動脈起始部異常による心筋虚血とLQTによる致死性不整脈の鑑別診断に難渋した稀な症例であり,若干の考察とともに報告する
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.S1_38