MSI検査によるユニバーサルスクリーニングが有用であったリンチ症候群の1例

MSI(microsatellite instability)検査によるユニバーサルスクリーニングを契機に発見された,リンチ症候群の1例を経験したので報告する.患者は56歳,男性.便潜血陽性のため施行された下部内視鏡検査で横行結腸癌と診断された.家族歴は,父親が40歳代で事故死しており,父方の情報が全く得られなかった.母方の血縁者に癌罹患者は認められなかった.結腸右半切除術を施行し,病理学的検査結果は中分化管状腺癌,pT2pN0cM0 pStageⅠであった.ユニバーサルスクリーニングとして行ったMSI検査の結果は,MSI-H(MSI-High)であった.遺伝学的検査でMSH6に病的変異を認め...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 19; no. 2; pp. 72 - 76
Main Authors 関根, 茂樹, 岡村, 弥妃, 落合, 亮二, 堀, 伸一郎, 小畠, 誉也, 金子, 景香, 寺本, 典弘, 小林, 成行, 菅野, 康吉, 松山, 裕美, 大住, 省三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会 2019
日本遺伝性腫瘍学会
Subjects
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ISSN1346-1052
2189-6674
DOI10.18976/jsft.19.2_72

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Summary:MSI(microsatellite instability)検査によるユニバーサルスクリーニングを契機に発見された,リンチ症候群の1例を経験したので報告する.患者は56歳,男性.便潜血陽性のため施行された下部内視鏡検査で横行結腸癌と診断された.家族歴は,父親が40歳代で事故死しており,父方の情報が全く得られなかった.母方の血縁者に癌罹患者は認められなかった.結腸右半切除術を施行し,病理学的検査結果は中分化管状腺癌,pT2pN0cM0 pStageⅠであった.ユニバーサルスクリーニングとして行ったMSI検査の結果は,MSI-H(MSI-High)であった.遺伝学的検査でMSH6に病的変異を認め,リンチ症候群と診断された.術後5年経過し,無再発生存中である.本症例は,アムステルダム基準Ⅱと改訂ベセスダガイドラインを明確に満たさなかったが,MSI検査から確定診断につなげることができた.ユニバーサルスクリーニングは,両基準非該当症例におけるリンチ症候群の拾い上げに有用と考えられた.
ISSN:1346-1052
2189-6674
DOI:10.18976/jsft.19.2_72