下咽頭癌における抜去食道の臨床および病理学的検討

下咽頭癌は上部消化管とくに食道癌の合併率が高い. そこで下咽頭癌で食道抜去した30症例を対象として検索を行った. その結果, 下咽頭の病期がIV期になると同時性食道重複癌が高頻度にみられた. 内視鏡下ヨード染色検査で不染域が半周性以上で多発, 3cm以上では癌が高頻度で発見された. 同時性食道癌の深達度はほとんどがsmまでに留まる早期食道癌であったが多発するため食道を残さない術式を考慮する必要性が考えられた. 異時性の場合は単発のものが多いため早期のものは局所治療の良い適応になると思われた. 上部消化管スクリーニングの重要性を認識するとともに, 下咽頭から食道までの粘膜の多中心性発癌の母地とし...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 100; no. 1; pp. 7 - 12
Main Authors 小柳, 泰久, 武藤, 功太郎, 吉田, 知之, 丸岡, 秀裕, 井上, 斉, 吉田, ひかり, 伊藤, 博之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 1997
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.100.7

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Summary:下咽頭癌は上部消化管とくに食道癌の合併率が高い. そこで下咽頭癌で食道抜去した30症例を対象として検索を行った. その結果, 下咽頭の病期がIV期になると同時性食道重複癌が高頻度にみられた. 内視鏡下ヨード染色検査で不染域が半周性以上で多発, 3cm以上では癌が高頻度で発見された. 同時性食道癌の深達度はほとんどがsmまでに留まる早期食道癌であったが多発するため食道を残さない術式を考慮する必要性が考えられた. 異時性の場合は単発のものが多いため早期のものは局所治療の良い適応になると思われた. 上部消化管スクリーニングの重要性を認識するとともに, 下咽頭から食道までの粘膜の多中心性発癌の母地としての可能性が示唆された.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.100.7