生体の自然の仕組みを応用する鍼灸、物理療法 名人の技から科学的手法への展開

鍼治療は, 体壁にのみ直接作用するので, 体壁の骨格筋の不具合には直接働きかけることができる. しかも日本の鍼治療は, 問題のある筋を触知し狙い打ちするので筋の不具合による痛み等には優れた効果を発揮する. しかし, 内科疾患等, 病態に直接刺鍼できない状況では, 身体の何らかの仕組みを介して働きかけなければならない. したがって, 内科系の訴え, 自律神経系の訴えなどには身体の仕組みを活用する理論が必要である. 演者らは長年の実験研究, 臨床研究によりこの理論を体系化した. 運動器の訴えに対する治療も身体の仕組みを活用することでさらに効果的になるのは当然である. 「1. 物理的刺激による基礎的...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 73; no. 1; pp. 5 - 8
Main Author 西條, 一止
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 2009
日本温泉気候物理医学会
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ISSN0029-0343
1884-3697
DOI10.11390/onki.73.5

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Summary:鍼治療は, 体壁にのみ直接作用するので, 体壁の骨格筋の不具合には直接働きかけることができる. しかも日本の鍼治療は, 問題のある筋を触知し狙い打ちするので筋の不具合による痛み等には優れた効果を発揮する. しかし, 内科疾患等, 病態に直接刺鍼できない状況では, 身体の何らかの仕組みを介して働きかけなければならない. したがって, 内科系の訴え, 自律神経系の訴えなどには身体の仕組みを活用する理論が必要である. 演者らは長年の実験研究, 臨床研究によりこの理論を体系化した. 運動器の訴えに対する治療も身体の仕組みを活用することでさらに効果的になるのは当然である. 「1. 物理的刺激による基礎的生体反応と身体の仕組みによる臨床的生体反応」物理的刺激はその刺激の種類により, 有効刺激であれば生体反応をつくる. しかし, その反応は, 生体の仕組みにより修飾されて臨床的反応が生起される. 「2. 身体の仕組みI:姿勢と交感神経(Fig. 1)」人類が直立二足歩行を開始することで, 生体は重力の強い影響を受けることになった.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki.73.5