甲状腺機能亢進症の治療によりQT時間が著明に短縮したQT延長症候群の1例

失神の既往や若年・突然死の家族歴がなく,高血圧でアムロジピン内服中の57歳女性.発作性心房細動の既往があるが抗不整脈薬の定期内服は.ふらつきで救急受診し,洞調律であったがQTc640msecと著明に延長していた.甲状腺機能亢進症が判明し精査した結果バセドウ病と診断されたがカリウム等電解質は正常.運動・カテコラミン・メキシレチン負荷試験は陰性で心筋症の所見もなかった.TdP含む重症心室性不整脈も認めずに経過し,バセドウ病の治療を開始したところQTcは著明に短縮した.二次性QT延長と思われたがQT延長症候群キャリアの可能性があり遺伝子検査を提出した.甲状腺機能亢進により電解質異常をきたしQT延長を...

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Published inShinzo Vol. 49; no. SUPPL.1; pp. S1_33 - S1_37
Main Authors 相庭, 武司, 栗林, 祥子, 堺, 浩二, 古財, 敏之, 小林, 茜, 出口, 裕子, 甲木, 雅人, 目野, 宏, 林谷, 俊児, 松川, 龍一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 28.08.2017
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.S1_33

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Summary:失神の既往や若年・突然死の家族歴がなく,高血圧でアムロジピン内服中の57歳女性.発作性心房細動の既往があるが抗不整脈薬の定期内服は.ふらつきで救急受診し,洞調律であったがQTc640msecと著明に延長していた.甲状腺機能亢進症が判明し精査した結果バセドウ病と診断されたがカリウム等電解質は正常.運動・カテコラミン・メキシレチン負荷試験は陰性で心筋症の所見もなかった.TdP含む重症心室性不整脈も認めずに経過し,バセドウ病の治療を開始したところQTcは著明に短縮した.二次性QT延長と思われたがQT延長症候群キャリアの可能性があり遺伝子検査を提出した.甲状腺機能亢進により電解質異常をきたしQT延長を認めることは一般的であるが,甲状腺機能亢進状態そのものがQTを延長させることも報告されている.本例も明らかな電解質異常がないQT延長が甲状腺機能亢進症の治療のみで著明に改善した稀な例と思われ,文献的考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.S1_33