アイトラッキングを用いたランドマーク教示の効果検証

年間約12万件実施される腹腔鏡下胆嚢摘出術のうち,約600件の症例において胆嚢管と総胆管の誤認による胆管損傷が発生している.胆管損傷の主な原因としては,(1)ランドマークを確認せずに剥離動作を進めたこと,(2)ランドマークを確認したものの誤って認識してしまったこと,が挙げられる.先行研究では,胆管損傷の回避を目的として,人工知能を用いたランドマーク教示システムを開発し,その教示精度について有効性を示した.しかしながら,(1)および(2)について,これらを予防する効果については未だ検証されていない.そこで,本研究では医師の視線を追跡するアイトラッキング技術を用い,ランドマーク教示映像の効果検証を...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 407
Main Authors 遠藤, 裕一, 中沼, 寛明, 松延, 佑将, 藤永, 淳郎, 徳安, 達士, 右寺, 凌, 篠塚, 賢一, 猪股, 雅史, 鶴田, 沙也加, 衛藤, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.407

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Summary:年間約12万件実施される腹腔鏡下胆嚢摘出術のうち,約600件の症例において胆嚢管と総胆管の誤認による胆管損傷が発生している.胆管損傷の主な原因としては,(1)ランドマークを確認せずに剥離動作を進めたこと,(2)ランドマークを確認したものの誤って認識してしまったこと,が挙げられる.先行研究では,胆管損傷の回避を目的として,人工知能を用いたランドマーク教示システムを開発し,その教示精度について有効性を示した.しかしながら,(1)および(2)について,これらを予防する効果については未だ検証されていない.そこで,本研究では医師の視線を追跡するアイトラッキング技術を用い,ランドマーク教示映像の効果検証を行うことを目的とする.本研究ではアイトラッキングに竹井機器工業社製TalkEyeLiteシステムを用いた.また,医師の視点がランドマークを捉えられているのかを計測,評価するためにキーボード操作を利用した実験アプリケーションと画像処理を用いた評価法を作成した.アプリケーションでは,意識的にランドマークを注視している際のサインとして,キーボード操作の信号を同期的に記録している.評価法では医師の視点を表すヒートマップとランドマークの重なりを指標として解析することにより,人工知能によるランドマーク教示の効果検証を行う.本稿では,アイトラッキングによるランドマーク教示の効果検証ツールと評価法および検証実験の結果を報告する.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.407