計算機内部の評価値に基づく視覚的フィードバックを用いた脳波による文字入力

脳波による文字入力において事象関連電位P300が広く用いられている。しかし、その出現は被験者の状態に依存するため、入力精度が著しく劣化することが考えられる。そこで、これまでこうした悪条件下でも高精度で入力文字を特定する計算機アルゴリズムが多数報告されてきた。一方で、文字特定を容易にするP300の出現を促すよう被験者に働きかけるアプローチは見当たらない。そこで、我々は刺激呈示の方法を工夫し、被験者の状態を向上させることで、精度向上を試みた。本研究では計算機の評価値を途中経過として被験者に知らせることにより、現時点の状況を正確に把握し、入力対象文字の評価値が高い場合は、その状態を維持するよう努め、...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 487
Main Authors 島田, 尊正, 深見, 忠典, 佐藤, 輝, 吉田, 蒼生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.487

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Summary:脳波による文字入力において事象関連電位P300が広く用いられている。しかし、その出現は被験者の状態に依存するため、入力精度が著しく劣化することが考えられる。そこで、これまでこうした悪条件下でも高精度で入力文字を特定する計算機アルゴリズムが多数報告されてきた。一方で、文字特定を容易にするP300の出現を促すよう被験者に働きかけるアプローチは見当たらない。そこで、我々は刺激呈示の方法を工夫し、被験者の状態を向上させることで、精度向上を試みた。本研究では計算機の評価値を途中経過として被験者に知らせることにより、現時点の状況を正確に把握し、入力対象文字の評価値が高い場合は、その状態を維持するよう努め、低い場合は評価値を高めようとより刺激に対して注意を向けることで顕著なP300出現を促す。ここでは、P300振幅に応じて呈示する文字の大きさを変更することで、評価値情報をフィードバックした。健常男性10名にディスプレイ上に表示した4文字の中から入力文字である1文字を注視し、その文字が点灯回数を数えるメンタルカウンティング課題を与え実験を行った。その結果、7例はフィードバックありの方が高い正答率を示し、逆に3例でフィードバックの方が高い正答値を示した。これより、文字の大きさによるフィードバックの有効性に個人差が見られた。今後は、より多くの被験者で有効な刺激呈示法について検討したい。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.487