内視鏡外科手術における医原性合併症の回避を目的とした人工知能システムの開発

腹腔鏡下胆嚢摘出術における胆道損傷の原因究明あるいは予防策については,今日までの約30年間に亘って多くの議論がなされてきた.2018年9月には,日本医療安全調査機構が同手術における死亡事例の分析結果をまとめ,医療事故の再発防止に向けた提言を発した.その中で,同機構は同手術では良好な視野を保ち,解剖学的構造を認識しながらCritical View of Safetyの確認を求めている.しかしながら,胆道損傷の主な要因には,術者らによる解剖学的構造の誤認が考えられることも報告されている.人間の認知メカニズムにおいては,目で見た情報は過去の体験や記憶と照合され,ものとして認知される.また,私たちは一...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 257
Main Authors 上山, 都士也, 篠塚, 賢一, 猪股, 雅史, 白坂, 美哲, 遠藤, 裕一, 徳安, 達士, 藤永, 淳郎, 中沼, 寛明, 坂口, 誠一郎, 江部, 康平, 衛藤, 剛, 河野, 洋平, 石掛, 真人, 松延, 佑将, 鈴木, 浩輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.257

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Summary:腹腔鏡下胆嚢摘出術における胆道損傷の原因究明あるいは予防策については,今日までの約30年間に亘って多くの議論がなされてきた.2018年9月には,日本医療安全調査機構が同手術における死亡事例の分析結果をまとめ,医療事故の再発防止に向けた提言を発した.その中で,同機構は同手術では良好な視野を保ち,解剖学的構造を認識しながらCritical View of Safetyの確認を求めている.しかしながら,胆道損傷の主な要因には,術者らによる解剖学的構造の誤認が考えられることも報告されている.人間の認知メカニズムにおいては,目で見た情報は過去の体験や記憶と照合され,ものとして認知される.また,私たちは一度認知した情報が誤りであったとしても,他者からの介入に,認知情報を改めることは難しい.そこで我々は,胆道損傷の回避に有効な解剖学的ランドマークを正確に認知する熟練外科医の暗黙知をデータ化し,これを人工知能に学習させた.講演では,同システムの概略および臨床性能試験などを通して我々が得たいくつかの知見について報告する.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.257