熱流補償型・深部温度計の測定値を学習に用いた非接触・脳前頭前野温度推定法の開発
COVID-19の世界的流行に伴い、様々な場所でサーモグラフィを用いた顔表面温度測定に基づく体温推定が行われている。しかし、顔表面温度と腋下温の相関係数は0.7程度(Sun G. et. al., Int. J. Infect. Dis.2014)であり、深部体温や外気に影響されて顔表面温度が決定するプロセスも明確にはなっていない。本研究では、感染拡大防止のための高精度な非接触体温推定を目的として、直接的な熱伝導が予想される目頭付近(内眼角付近の強膜)の温度から脳前頭前野の深部体温を推定する手法を開発した。目頭付近の表面温度と脳前頭前野の深部体温は、それぞれ赤外線サーモグラフィと前額に装着した...
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Published in | 生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 367 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2021
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual59.367 |
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Summary: | COVID-19の世界的流行に伴い、様々な場所でサーモグラフィを用いた顔表面温度測定に基づく体温推定が行われている。しかし、顔表面温度と腋下温の相関係数は0.7程度(Sun G. et. al., Int. J. Infect. Dis.2014)であり、深部体温や外気に影響されて顔表面温度が決定するプロセスも明確にはなっていない。本研究では、感染拡大防止のための高精度な非接触体温推定を目的として、直接的な熱伝導が予想される目頭付近(内眼角付近の強膜)の温度から脳前頭前野の深部体温を推定する手法を開発した。目頭付近の表面温度と脳前頭前野の深部体温は、それぞれ赤外線サーモグラフィと前額に装着した熱流補償型・深部温度プローブを用いて測定した。測定は東京都立大学の健常な学生6名(男性4名女性2名,平均21.7歳)を対象にビックマック1個とホットドリンクの食事前と深部体温が上昇する食事後に行い、4名分40組のデータセット(目頭付近の表面温度と脳前頭前野の深部体温)を学習データ、2名分20組のデータセットをテストデータとして用いた。回帰分析により作成した脳前頭前野の深部体温推定式を次に示す。Y=0.27*X+26.9(Y:脳前頭前野の深部体温,X:目頭付近の表面温度)脳前頭前野の深部体温推定値と熱流補償型・深部温度計による実測値の間には、推定誤差0.03℃、相関係数0.88の高い相関が認められた。提案手法は感染症スクリーニングシステムに実装済みで、都内コロナ専用病棟で試用予定である。 |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual59.367 |