認知行動療法に基づく視線訓練システムの開発

社交不安症(Social Anxiety Disorder : SAD)は,他者の注視を浴びる可能性のある社交場面に対して著しい不安を感じる精神疾患である.近年では,様々な治療法の研究が進められており,その中に視線訓練による認知行動療法がある.しかし,週に1回時間を確保するのが難しい患者や経済的な理由から十分な認知行動療法を受けることができない患者がいる.また,日本では認知行動療法の実施者が不足しているため,認知行動療法を受けるまで数か月待機する患者も一定数いる.そこで本研究では,眼鏡型視線追跡装置を用いた視線訓練システムを開発する.まず,社交不安症患者が不安を感じやすい社交場面を再現した訓練...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 336
Main Authors 宮内, 政徳, 福田, 京平, 須藤, 千尋, 中口, 俊哉, 池田, 友紀, 平野, 好幸, 松本, 淳子, 佐原, 佑治, 滝口, 直美, 清水, 栄司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.336

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Summary:社交不安症(Social Anxiety Disorder : SAD)は,他者の注視を浴びる可能性のある社交場面に対して著しい不安を感じる精神疾患である.近年では,様々な治療法の研究が進められており,その中に視線訓練による認知行動療法がある.しかし,週に1回時間を確保するのが難しい患者や経済的な理由から十分な認知行動療法を受けることができない患者がいる.また,日本では認知行動療法の実施者が不足しているため,認知行動療法を受けるまで数か月待機する患者も一定数いる.そこで本研究では,眼鏡型視線追跡装置を用いた視線訓練システムを開発する.まず,社交不安症患者が不安を感じやすい社交場面を再現した訓練用コンテンツを制作し,眼鏡型視線追跡装置を装着して,自然な視野で視線訓練が行えるシステムを開発した.本システムの構成は可搬性を考慮して,眼鏡型視線追跡装置,操作PC,訓練者用モニタの3点のみとした.訓練では,社交不安症患者の特徴である自己注目,共同注視に着目し,訓練者が指示された領域を一定時間注視することができた場合,音声によるフィードバックを自動的に与える.20~30分の訓練時間内に複数の訓練用コンテンツが再生され,訓練者はコンテンツごとの指示に従い,視線訓練を繰り返す.本研究では健常者実験によって,システムの安全性およびユーザビリティ評価を実施した.訓練用コンテンツやフィードバックの妥当性を確認した.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.336