全自動化学発光酵素免疫測定システムを用いたtacrolimus測定試薬「ルミパルスプレスト® iTACT® タクロリムス」の性能評価

「I. 背景」tacrolimus(TAC)はマクロライド環をもつ免疫抑制薬であり, 臓器移植後の免疫抑制療法に加え, 関節リウマチをはじめとする自己免疫性疾患や潰瘍性大腸炎の治療薬としても使用されている. TACは細胞内に存在するFK506-binding protein 12(FKBP1A)と結合し, カルシニューリンと複合体を形成することでカルシニューリンのホスファターゼ活性を不活化させる. カルシニューリンは活性化T細胞核内因子の脱リン酸化により, 核内移行を引き起こすことでインターロイキン-2(IL-2)の発現の誘導を行うが, カルシニューリンがTACによって不活化されIL-2の発現...

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Published in移植 Vol. 60; no. 1; pp. 19 - 24
Main Authors 金子 結, 高根 真希, 上野 智浩, 高原 充佳, 後藤 大希, 正司 浩規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2025
日本移植学会
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.60.1_19

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Summary:「I. 背景」tacrolimus(TAC)はマクロライド環をもつ免疫抑制薬であり, 臓器移植後の免疫抑制療法に加え, 関節リウマチをはじめとする自己免疫性疾患や潰瘍性大腸炎の治療薬としても使用されている. TACは細胞内に存在するFK506-binding protein 12(FKBP1A)と結合し, カルシニューリンと複合体を形成することでカルシニューリンのホスファターゼ活性を不活化させる. カルシニューリンは活性化T細胞核内因子の脱リン酸化により, 核内移行を引き起こすことでインターロイキン-2(IL-2)の発現の誘導を行うが, カルシニューリンがTACによって不活化されIL-2の発現が制限されることで, Tリンパ球の活性化と増殖を抑制し, 免疫抑制効果を得ることができる. TACは有効血中濃度域が狭く, 代謝の個人差が大きいことに加え, 腎毒性や神経毒性などの重篤な副作用が生じる可能性がある.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.60.1_19