樹木由来の香り物質が高齢者の主観的睡眠感および睡眠変数に及ぼす影響

睡眠改善を目的とした服薬を伴わない介入方法の一つに、香りがある。アロマテラピーで用いる精油に留まらず、植物のにおい成分や抽出成分にも睡眠を改善する効果があることが複数報告されている。本研究では、寝具への応用の可能性を考え、消臭効果や花粉のアレルギー性を抑制させる作用をもつトドマツ由来の香り物質に着目をし、その香り物質が高齢者の睡眠に及ぼす影響についての検討を行った。 研究対象者は、寝付きに困難を抱えている高齢者11名とした。対象者には実験室への入室後、脳波計等の機器を装着し、24時から7時まで就床させた。本研究は、被験者内実験計画により、実験条件(A.コントロール条件、B.トドマツ由来の香り物...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 574
Main Authors 金子, 俊彦, 大平, 雅子, 小澤, 洋平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.574

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Summary:睡眠改善を目的とした服薬を伴わない介入方法の一つに、香りがある。アロマテラピーで用いる精油に留まらず、植物のにおい成分や抽出成分にも睡眠を改善する効果があることが複数報告されている。本研究では、寝具への応用の可能性を考え、消臭効果や花粉のアレルギー性を抑制させる作用をもつトドマツ由来の香り物質に着目をし、その香り物質が高齢者の睡眠に及ぼす影響についての検討を行った。 研究対象者は、寝付きに困難を抱えている高齢者11名とした。対象者には実験室への入室後、脳波計等の機器を装着し、24時から7時まで就床させた。本研究は、被験者内実験計画により、実験条件(A.コントロール条件、B.トドマツ由来の香り物質を練り込んだ枕カバー、C.トドマツ由来の精油シールを枕カバーに貼付)の順序効果に考慮して実施をした。なお、事前に滋賀大学倫理審査委員会の承認を得て、対象者に研究への参加の同意を事前に得た上で実施した。 起床後の主観的睡眠感の評価には、OSA睡眠質問調査票を用いた。その結果、B・C条件では、入眠と睡眠維持・疲労回復の項目の得点が高い傾向にあった。また、PSGの判定結果から、睡眠変数を求めた結果、B・C条件では、コントロール条件よりも入眠潜時および睡眠中の中途覚醒時間が減少し、睡眠効率が高い傾向が認められた。以上のことから、トドマツ由来の香り物質が入眠の誘導や中途覚醒時間の減少に寄与する可能性が示唆された。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.574