光による内シャント透視イメージングに関する基礎的検討 32波長画像演算による血管狭窄画像明瞭化の検討

人工透析療法では,高流量での体外循環が必要となるため,動静脈を吻合した内シャントが一般的に不可欠である.しかしこの内シャントは,種々のストレスにより狭窄や閉塞を生じやすく日常的な管理が重要となる.これに対し我々は,近赤外光を用いた生体透視法により,非侵襲かつ定量的,簡易に内シャントの内径を観測可能な内シャント光イメージングの実現に向け検討を行ってきた.これが実現すると,血管内径の継続的な経過観察が可能となり,狭窄・閉塞の早期発見や長期管理につながる.これまでの検討では,生体模擬試料を用いた実験を通して提案手法の可能性を示してきた.しかし実際の臨床計測では,患者毎に前腕表面の状態が異なるため,撮...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 313
Main Authors 清水, 孝一, 小島, 洋一郎, 清水, 久恵, 菊池, 明泰, 山下, 政司, 神山, 英昇, 北間, 正崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.313

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Summary:人工透析療法では,高流量での体外循環が必要となるため,動静脈を吻合した内シャントが一般的に不可欠である.しかしこの内シャントは,種々のストレスにより狭窄や閉塞を生じやすく日常的な管理が重要となる.これに対し我々は,近赤外光を用いた生体透視法により,非侵襲かつ定量的,簡易に内シャントの内径を観測可能な内シャント光イメージングの実現に向け検討を行ってきた.これが実現すると,血管内径の継続的な経過観察が可能となり,狭窄・閉塞の早期発見や長期管理につながる.これまでの検討では,生体模擬試料を用いた実験を通して提案手法の可能性を示してきた.しかし実際の臨床計測では,患者毎に前腕表面の状態が異なるため,撮影画像の品質は必ずしも一定ではない.また血管内壁境界を特定するためには,検出感度の更なる向上が望まれる.これらの対策として,本研究では差分原理を導入した.つまり,血液部と血管壁部の光吸収特性の差異に着目し,2波長で撮影した2画像間の輝度差分画像を求める.これにより,体表条件等の個体差は低減される.また,血液の吸光度差が大きい2波長を選択することにより,画像中の血管壁部と血液部の違いが強調される.局所的な血管狭窄を有する試料を対象に検証を繰り返した結果,血管径 2.0 mmであっても誤差20 %で狭窄部の内径計測が可能であった.これにより,臨床計測に利用可能な程度の内径計測精度が確認された.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.313