マイクロウェルシステムによる顕微鏡下精巣精子採取術の高速化

男性不妊のひとつに,造精機能障害により精液中にほとんど精子がみられない無精子症が挙げられる.無精子症の患者には,精細管の一部を直接採取する顕微鏡下精巣内精子採取術(Micro-TESE)と呼ばれる術法により精子回収が試みられる.Micro-TESEでは培養士が採取した精巣組織から,顕微鏡下で良好精子の探索を目視で行っているが,探索に時間を要し患者への負担となっている.そこで,本研究ではMicro-TESEにおける精子の探索および回収の高速化を可能にするマイクロウェルアレイと画像処理を組み合わせた精子の探索から回収までを一貫して行うシステムを提案する.具体的には,マイクロウェルアレイのエッジに3...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 323
Main Authors 池内, 真志, 加地, 宏乃介, 江崎, ゆり子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.323

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Summary:男性不妊のひとつに,造精機能障害により精液中にほとんど精子がみられない無精子症が挙げられる.無精子症の患者には,精細管の一部を直接採取する顕微鏡下精巣内精子採取術(Micro-TESE)と呼ばれる術法により精子回収が試みられる.Micro-TESEでは培養士が採取した精巣組織から,顕微鏡下で良好精子の探索を目視で行っているが,探索に時間を要し患者への負担となっている.そこで,本研究ではMicro-TESEにおける精子の探索および回収の高速化を可能にするマイクロウェルアレイと画像処理を組み合わせた精子の探索から回収までを一貫して行うシステムを提案する.具体的には,マイクロウェルアレイのエッジに3bitsのマーカーを載せた各ウェルの座標が識別可能な独自のマイクロウェルアレイと,古典的画像処理アルゴリズムを組み合わせた精子探索に特化した高速な精子探索プログラムを開発した.マイクロウェルアレイのマーカーのラベルの読み取り精度を検証することで,提案するマイクロウェルアレイを評価した.また,精子探索プログラムの精度と実行時間について従来手法と比較し,提案アルゴリズムが精度及び実行時間の観点から優れていることを示した.以上の結果から,従来人手で行われていた精巣組織中の精子探索をコンピュータビジョンを用いた自動回収システムに置き換えることによる,高速な精子の回収/探索の可能性を示した.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.323