超音波照射下におけるドキソルビシン付着型アルブミンナノ粒子の徐放性の評価
抗がん剤ドキソルビシン (DOX) の副作用低減策として,ナノサイズのアルブミン粒子の表面にDOXを付着させた薬剤(DOX-Alb)が開発され,EPR効果によるがん組織へのターゲティング,超音波照射によるDOXの徐放制御が期待されている.我々は,DOX-Albの細胞内動態について培養細胞を用いた検討を行っている.細胞内DOXの動態は蛍光顕微鏡で観察できるが,核酸と結合して消光するため核内へのDOX 導入量の定量が難しい.そこで,同様に核酸と結びつくHoechst 33342染色により,核内のDOX濃度を評価する手法が提案されている.本報告では,この手法を用いた超音波によるDOX徐放制御の可能性...
Saved in:
Published in | 生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 322 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2021
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual59.322 |
Cover
Summary: | 抗がん剤ドキソルビシン (DOX) の副作用低減策として,ナノサイズのアルブミン粒子の表面にDOXを付着させた薬剤(DOX-Alb)が開発され,EPR効果によるがん組織へのターゲティング,超音波照射によるDOXの徐放制御が期待されている.我々は,DOX-Albの細胞内動態について培養細胞を用いた検討を行っている.細胞内DOXの動態は蛍光顕微鏡で観察できるが,核酸と結合して消光するため核内へのDOX 導入量の定量が難しい.そこで,同様に核酸と結びつくHoechst 33342染色により,核内のDOX濃度を評価する手法が提案されている.本報告では,この手法を用いた超音波によるDOX徐放制御の可能性を検討した.DOX培養液,超音波洗浄機による1時間の超音波照射でDOXをアルブミン粒子から遊離させたDOX-Alb培養液(US+)と,照射しない培養液(US-)の3種類を準備した.ヒト前立腺がん細胞PC-3を培養液に浸漬,約20分後にHoechst染色し,リンス後DOXとHoechstの蛍光画像を取得した.DOXの蛍光画像より,DOX-Alb培養細胞が DOXに比べて細胞質内で高い蛍光強度を示すことが確認された.また,DOX培養細胞では,DOX濃度に依存して核のHoechst輝度が減少する傾向が見られたのに対し,DOX-Alb (US+,US-) 培養細胞ではそれと異なる傾向が見られた. |
---|---|
ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual59.322 |