腹腔鏡下胆嚢摘出術における手術工程の自動認識に関する研究
近年,人工知能を保険医療の分野に活用する取組が注目されている.本研究室においては,深層学習を用いた腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)支援システムの開発を進めている.手術を安全に進めるために手術チームは,症例難易度の把握,術工程の把握,そして合併症回避のためのランドマークの確認を暗黙裏に行っている.これの暗黙知を情報技術で補うことができれば,術者の負担軽減や医療格差の問題解決に貢献することができる.そこで本研究では,深層学習による手術工程の自動認識を目的とし,アルゴリズムの認識精度を高める技術要素の抽出について取り組んだ.まず,LC65症例のフル動画を用意し,すべて1秒間隔で静止画に変換した上で手術工程...
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Published in | 生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 591 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2021
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual59.591 |
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Summary: | 近年,人工知能を保険医療の分野に活用する取組が注目されている.本研究室においては,深層学習を用いた腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)支援システムの開発を進めている.手術を安全に進めるために手術チームは,症例難易度の把握,術工程の把握,そして合併症回避のためのランドマークの確認を暗黙裏に行っている.これの暗黙知を情報技術で補うことができれば,術者の負担軽減や医療格差の問題解決に貢献することができる.そこで本研究では,深層学習による手術工程の自動認識を目的とし,アルゴリズムの認識精度を高める技術要素の抽出について取り組んだ.まず,LC65症例のフル動画を用意し,すべて1秒間隔で静止画に変換した上で手術工程のラベル付けを行った.深層学習のモデルとしてInception Resnet v2を採用し,ランダムに症例を抽出し,30症例と50症例のデータセットを3種類ずつ用意し,学習モデルを作成した.結果として,50症例のデータセットを学習したモデルは,30症例のものと比較して,未知のデータに対する認識精度が高いことを示した.ただし,臨床で利用するには手術工程間の認識精度にばらつきが大きく,学習データの増加あるいはデータ拡張などの方法を用いることなどにより,さらなる認識精度の向上が必要である. |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual59.591 |