血漿インターロイキン6濃度に与える短時間静置の影響
炎症性サイトカインであるインターロイキン6 (IL-6)は,救急搬送や集中治療を要する患者の重症度の指標として,2020年に保険点数収載されている。しかし,血液検体の保管方法によっては,白血球や血小板からの分泌などによりIL-6濃度が変化することが指摘されている。本研究では,健常成人男性14名(平均34.8±2.8歳)を被検者とし,採血直後から2時間の濃度変化を観察することで,短時間静置の影響を議論した(倫理委員会承認)。抗凝固剤(EDTA)入り真空採血管で採血した全血20 mL(5 mL×4)を2,000 Gで遠心分離し,臨床生化学分析装置(cobas8000,ロシュ・ダイアグノスティックス...
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Published in | 生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 401 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2021
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual59.401 |
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Summary: | 炎症性サイトカインであるインターロイキン6 (IL-6)は,救急搬送や集中治療を要する患者の重症度の指標として,2020年に保険点数収載されている。しかし,血液検体の保管方法によっては,白血球や血小板からの分泌などによりIL-6濃度が変化することが指摘されている。本研究では,健常成人男性14名(平均34.8±2.8歳)を被検者とし,採血直後から2時間の濃度変化を観察することで,短時間静置の影響を議論した(倫理委員会承認)。抗凝固剤(EDTA)入り真空採血管で採血した全血20 mL(5 mL×4)を2,000 Gで遠心分離し,臨床生化学分析装置(cobas8000,ロシュ・ダイアグノスティックス(株))とIL-6 キット(エクルーシス,ロシュ・ダイアグノスティックス(株))で分析したところ,採血から30分後に濃度が得られ,この値を0分とした。その後氷冷保存しつつ,さらに30,60,90分の濃度を分析した。IL-6濃度は,11名の被検者で測定下限値である1.5 pg/mLを下回った。これは,既報の4.98 pg/mL (66名)と比べて,極めて低値であった。すなわち,EDTA入り採血管で採血し,直後に遠心分離することで血漿のみを収集し,かつ分析まで氷冷すれば,血液に含まれる白血球などの影響に起因する短期的な濃度変化を防ぎ,真値を測定できると考えられた。 |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual59.401 |