洞性頻拍との鑑別にEnsite Arrayが有用であった心房頻拍の 1例

症例は17歳, 女性. 主訴 : 動悸. 陸上部の練習中に頻回に動悸を自覚するため近医を受診した. Holter心電図で徐々に脈拍が上昇し, 心拍数182/分のnarrow QRS tachycardiaとなり, 同時に動悸を自覚した. 大学病院を紹介受診し, 洞性頻拍と診断されたがその後も症状が続くため, 当院を紹介された. 心房頻拍が疑われ, 臨床心臓電気生理学的検査およびカテーテルアブレーション目的で入院となった.  入院時の体表面12誘導心電図は心拍数48/分と徐脈であり, aV L誘導で陰性P波を認め異所性心房調律が疑われた. 電気生理学的検査を施行し, 心房期外刺激により頻拍は誘発...

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Published inShinzo Vol. 45; no. SUPPL.3; pp. S3_5 - S3_11
Main Authors 丹野, 郁, 千葉, 雄太, 菊地, 美和, 安達, 太郎, 小林, 洋一, 大沼, 善正, 浅野, 拓, 川崎, 志郎, 伊藤, 啓之, 箕浦, 慶乃, 渡辺, 則和, 大西, 克実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2013
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.45.S3_5

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Summary:症例は17歳, 女性. 主訴 : 動悸. 陸上部の練習中に頻回に動悸を自覚するため近医を受診した. Holter心電図で徐々に脈拍が上昇し, 心拍数182/分のnarrow QRS tachycardiaとなり, 同時に動悸を自覚した. 大学病院を紹介受診し, 洞性頻拍と診断されたがその後も症状が続くため, 当院を紹介された. 心房頻拍が疑われ, 臨床心臓電気生理学的検査およびカテーテルアブレーション目的で入院となった.  入院時の体表面12誘導心電図は心拍数48/分と徐脈であり, aV L誘導で陰性P波を認め異所性心房調律が疑われた. 電気生理学的検査を施行し, 心房期外刺激により頻拍は誘発されなかったが, isoprot-erenol (ISP) 負荷後, 心拍数が100/分を上回ったころから高位右房の電極カテーテルの興奮順序が不規則に変化した. Contact mappingでは最早期興奮部位の特定は困難と考え, ensite arrayによるnon con-tact mappingを行った. 最早期興奮部位は, 高位右房側壁と右心耳基部に不規則に変化したが, その間心拍数の明らかな変化はなかった. 冠状静脈洞入口部から刺激を行い, 心房内の興奮順序から分界稜を同定し, 高位右房側壁の最早期興奮部位はその近傍であり, 洞結節と判断した. 右心耳基部に焼灼を行ったところ, 最早期興奮部位は洞結節のみとなり, 以後異所性心房調律は認めなかった. 入院時と右心耳基部起源の心房頻拍のP波は, 波高と極性が類似しており, 同部位からの調律と考えられた. その後 6カ月, 頻拍の再発は認めておらず, 頻拍は同部位からの心房頻拍であったと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.45.S3_5