頻拍時の心房プログラム刺激により心室二重応答を示した『偽性房室結節リエントリー性頻拍』 (pseudo-AVNRT) の2例

『偽性房室結節リエントリー性頻拍』 (pseudo AVNRT) の2例を報告する.  症例1 : 72歳, 女性. 動悸時の心電図にて房室結節回帰性頻拍 (AVNRT) を疑われ, アブレーション目的にて入院となった. 電気生理検査時, 洞性頻拍 (周期580~620ms, PR=190ms) が持続していた. 周期600msの心室刺激にてAVNRT類似の頻拍 (P波がQRS波に重畳, 周期約600ms) が誘発された. この頻拍時の心房内興奮順序は高位→低位であったためAVNRTは否定され, 600ms程度の長いPR時間 (遅伝導路 (SP) 経由) を伴う洞性頻拍 (pseudo AVN...

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Published inShinzo Vol. 41; no. SUPPL.4; pp. S4_5 - S4_11
Main Authors 笠岡, 祐二, 鈴木, 文男, 高野, 治人, 瀬崎, 和典, 野田, 誠, 村田, 将光, 速水, 紀幸, 中島, 敏明, 谷口, 由紀子, 中村, 健太郎, 村川, 裕二, 高野, 奈実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.41.S4_5

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Summary:『偽性房室結節リエントリー性頻拍』 (pseudo AVNRT) の2例を報告する.  症例1 : 72歳, 女性. 動悸時の心電図にて房室結節回帰性頻拍 (AVNRT) を疑われ, アブレーション目的にて入院となった. 電気生理検査時, 洞性頻拍 (周期580~620ms, PR=190ms) が持続していた. 周期600msの心室刺激にてAVNRT類似の頻拍 (P波がQRS波に重畳, 周期約600ms) が誘発された. この頻拍時の心房内興奮順序は高位→低位であったためAVNRTは否定され, 600ms程度の長いPR時間 (遅伝導路 (SP) 経由) を伴う洞性頻拍 (pseudo AVNRT) と診断した. 頻拍中に冠静脈洞 (CS) より単発のプログラム心房刺激 (PAS) を行った. PASは速伝導路 (FP) とSPを伝導して2個のQRS波を生じた (double response現象). さらに早期のPASを与えるとSP伝導は途絶してFPのみの伝導となり, PR時間は190msへと短縮した.  症例2 : 41歳, 男性. 動悸時の心電図にてinappropriate sinus tachycardiaを疑われた. 電気生理検査時, 持続性洞性頻拍 (周期380~460ms) がみられた. 単発のPASにてP波がQRS波に重畳する頻拍への移行がみられた. 心房内興奮順序は高位→低位であったためAVNRTは否定された (pseudo AVNRTの診断). pseudo-AVNRT中に単発のPASを与えたところ, 症例1と同様にdouble response現象を示した. さらに早期のPASを与えるとSP伝導は途絶してFPのみの伝導となり, PR時間は150msへと短縮した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.S4_5