NaHCO3応用後の再石灰化エナメル質の耐酸性

濃度の異なるNaHCO3を作用させた後,表層下脱灰病変の再石灰化を行ったエナメル質の耐酸性をin vitroで検討した。試料には矯正的理由で抜去された10歳台の小臼歯健全エナメル質を使用した。脱灰は0.1M乳酸緩衝液(Ca 3.0mM,P 1.8mM,pH 5.0)に37℃で3日間浸潰して行い,再石灰化は9日間,37℃の再石灰化溶液(Ca 3.0mM,P 1.8mM,F 2ppm,pH 7.0)に浸潰して行った。再石灰化期間中,1日に2回,再石灰化溶液から取り出し,3種類の濃度(0.5,5.0,50.0mM)のNaHCO3溶液,およびコントロールとして脱イオン水に30分間浸潰した。溶液非作用群...

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Published inJOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 50; no. 2; pp. 198 - 204
Main Authors 田中, 景子, 飯島, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2000
Japanese Society for Oral Health
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.50.2_198

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Summary:濃度の異なるNaHCO3を作用させた後,表層下脱灰病変の再石灰化を行ったエナメル質の耐酸性をin vitroで検討した。試料には矯正的理由で抜去された10歳台の小臼歯健全エナメル質を使用した。脱灰は0.1M乳酸緩衝液(Ca 3.0mM,P 1.8mM,pH 5.0)に37℃で3日間浸潰して行い,再石灰化は9日間,37℃の再石灰化溶液(Ca 3.0mM,P 1.8mM,F 2ppm,pH 7.0)に浸潰して行った。再石灰化期間中,1日に2回,再石灰化溶液から取り出し,3種類の濃度(0.5,5.0,50.0mM)のNaHCO3溶液,およびコントロールとして脱イオン水に30分間浸潰した。溶液非作用群として,再石灰化溶液に浸潰したまま再石灰化を行ったグループも設定した。再石灰化後,0.1M乳酸緩衝液(Ca 3.0mM,P 1.8mM,pH 5.0)に37℃で3日間浸潰し耐酸性試験を行った。評価はマイクロラジオグラフィーでミネラル量の変化を指標に行った。その結果,NaHCO3作用濃度の違いによる耐酸性の違いは認められなかった。また,NaHCO3作用群はNaHCO3非作用群に比較して,表層ではなく内層において耐酸性の性状を有していることが判明した。主な理由は,病変内部に浸潤していたと思われるNaHCO3が耐酸性試験の際に緩衝作用物質として機能したこと,再石灰化によって得られたミネラルには作用群と非作用群とでは組成に違いがあることなどによる影響が考えられる。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.50.2_198