慣性センサを用いた片麻痺者歩行の足部異常運動の評価に関する基礎的検討

片麻痺者の歩行では下垂足や内反足などの異常運動がみられ,そのような運動は,着床時に転倒を生じる危険性もある.短下肢装具を用いることで,そのような異常運動の改善はみられるが,装具歩行時の麻痺側と健常側の運動を評価することは有用であると考えられる.そこで本研究では,歩行中の足部異常運動の評価に着目し,簡便に使用できる慣性センサを用いた角度計測から,足部異常運動を評価する方法を検討した.最初に,足背部に装着した慣性センサで健常者の歩行を計測し,着床時の矢状面角度,矢状面内での運動が停止する付近の前額面角度で構成される2次元平面を構成し,その平面上で評価基準となる角度範囲を,健常者の歩行時の角度の95...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Abstract; p. 388
Main Authors 村上, 克徳, 野呂, 泰平, 久家, 直巳, 渡邉, 高志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.388

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Summary:片麻痺者の歩行では下垂足や内反足などの異常運動がみられ,そのような運動は,着床時に転倒を生じる危険性もある.短下肢装具を用いることで,そのような異常運動の改善はみられるが,装具歩行時の麻痺側と健常側の運動を評価することは有用であると考えられる.そこで本研究では,歩行中の足部異常運動の評価に着目し,簡便に使用できる慣性センサを用いた角度計測から,足部異常運動を評価する方法を検討した.最初に,足背部に装着した慣性センサで健常者の歩行を計測し,着床時の矢状面角度,矢状面内での運動が停止する付近の前額面角度で構成される2次元平面を構成し,その平面上で評価基準となる角度範囲を,健常者の歩行時の角度の95%が含まれる条件でマハラノビス距離を用いて作成した.この作成した角度範囲に対して,片麻痺者の歩行計測で得た角度をプロットした結果,作成した角度範囲からの逸脱が5%を大きく上回る被験者が存在し,足部に異常運動が発生していると考えられた.そこで,角度範囲の中心からの角度のユークリッド距離を求め,健常者の通常歩行と比較して異常運動の評価を試みた.その結果,角度範囲からの逸脱が大きい場合に,着床時の矢状面,矢状面内での運動が停止する付近の前額面の異常運動が確認された.また,角度範囲からの逸脱が少ない場合にも異常運動が確認される場合もあり,角度分布の評価をさらに検討する必要があると考えられる.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.388