高齢者における展望的記憶の検討 とくに存在想起と内容想起の違いについて

高齢者の展望的記憶を評価し,他の神経心理学的検査や局所脳血流,日常生活場面での問題点との関係を検討した.対象は“もの忘れ”外来を受診した50 名で,診断名はアルツハイマー病 25 名,血管性認知症 14 名,Mild cognitive impairment(MCI)7 名,健常者 4 名であった.展望的記憶は日本版リバミード行動記憶検査の“持ち物”課題を用い,内容を自発的に思い出すこと(存在想起)と,なすべく行動の内容を覚えておくこと(内容想起)を評価した.その結果,認知症では存在想起と内容想起の両者が障害されるのに対し,MCIや健常者での内容想起は保たれることが多かった.存在想起は,右頭頂...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 43; no. 7; pp. 446 - 453
Main Authors 大沢, 愛子, 川原田, 美保, 前島, 伸一郎, 山田, 裕子, 種村, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本リハビリテーション医学会 2006
日本リハビリテーション医学会
Subjects
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ISSN0034-351X
1880-778X
DOI10.2490/jjrm1963.43.446

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Summary:高齢者の展望的記憶を評価し,他の神経心理学的検査や局所脳血流,日常生活場面での問題点との関係を検討した.対象は“もの忘れ”外来を受診した50 名で,診断名はアルツハイマー病 25 名,血管性認知症 14 名,Mild cognitive impairment(MCI)7 名,健常者 4 名であった.展望的記憶は日本版リバミード行動記憶検査の“持ち物”課題を用い,内容を自発的に思い出すこと(存在想起)と,なすべく行動の内容を覚えておくこと(内容想起)を評価した.その結果,認知症では存在想起と内容想起の両者が障害されるのに対し,MCIや健常者での内容想起は保たれることが多かった.存在想起は,右頭頂葉~角回,前頭葉内側部,左右海馬など大脳の広範な部位の局所脳血流と,内容想起は右海馬の局所脳血流と関連を認めた.生活健忘チェックリストでは,本人の自己評価では差を認めなかったが,家人の評価では存在想起,内容想起ともに関連を認め,日常生活場面での問題が明らかとなった.
ISSN:0034-351X
1880-778X
DOI:10.2490/jjrm1963.43.446