理学療法時にみられる慢性精神分裂病患者の臨床症状 : 男女差の考察
本研究の目的は, 身体障害を有する慢性分裂病患者の理学療法時に見られる精神症状の男女の違いを明らかにすることである。 対象は, 平成9年7月より12年3月の間に, 東京都立松沢病院にて, 身体障害を生じ理学療法を実施した慢性精神分裂病患者で, 精神症状がコントロールされている男性58名49.8±13.4歳, 女性71名52.7±15.9歳, 合計129名とした。 オリジナルな精神症状評価尺度を用いて評価を実施した。男女別に基本統計および探索的因子分析を行った。その結果, 探索的因子分析では, 認識・意欲障害, 注意障害, 活動性低下, 不安症状の共通な4つの因子が抽出されたが, 因子構造や因子...
Saved in:
Published in | 東京保健科学学会誌 Vol. 4; no. 3; pp. 148 - 153 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本保健科学学会
2001
Japan Academy of Health Sciences |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1344-3844 2433-149X |
DOI | 10.24531/jjhs.4.3_148 |
Cover
Summary: | 本研究の目的は, 身体障害を有する慢性分裂病患者の理学療法時に見られる精神症状の男女の違いを明らかにすることである。 対象は, 平成9年7月より12年3月の間に, 東京都立松沢病院にて, 身体障害を生じ理学療法を実施した慢性精神分裂病患者で, 精神症状がコントロールされている男性58名49.8±13.4歳, 女性71名52.7±15.9歳, 合計129名とした。 オリジナルな精神症状評価尺度を用いて評価を実施した。男女別に基本統計および探索的因子分析を行った。その結果, 探索的因子分析では, 認識・意欲障害, 注意障害, 活動性低下, 不安症状の共通な4つの因子が抽出されたが, 因子構造や因子間の関連に男女差が見られた。 認識意欲障害は, 不安症状と活動性低下に影響を及ぼすが, 男性では不安症状に, 女性では活動性低下に相対的に強い影響が見られた。また, 注意障害は, 男性では不安症状に影響を及ぼすが, 女性では他の因子に影響を与えない。これらの男性女性の精神症状の構造の違いが, 各項目の症状出現頻度や所属因子の相違になって現われるのではないかと思われる。 |
---|---|
ISSN: | 1344-3844 2433-149X |
DOI: | 10.24531/jjhs.4.3_148 |