筋力トレーニング教室から自主グループが形成・継続されるプロセスにおける保健師の支援のあり方 : 複線径路・等至性モデル(TEM)による住民と保健師の相互関係の分析の試み

目的:自主グループが形成され,継続するプロセスを,住民と保健師の相互関係から分析し,保健師の支援のあり方を考察することを目的とした.方法:対象は65歳以上の一般高齢者向きの,保健所の筋力トレーニング教室の参加者が立ち上げた自主グループとした.データ収集は(1)事業記録,(2)参与観察,(3)インタビューとし,得られたデータを「住民の視点」,「保健師の視点」に整理した.分析には複線径路・等至性モデル(TEM)を用いた.結果:プロセスは4期に整理され,住民と保健師の相互関係で重要な場面であるOPP(必須通過点)は,第1期,第3期の2場面であった.第1期では,筋力トレーニング教室修了後も運動を続けた...

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Published in日本地域看護学会誌 Vol. 13; no. 1; pp. 76 - 82
Main Authors 植村, 直子, 畑下, 博世, 金城, 八津子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地域看護学会 15.10.2010
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ISSN1346-9657
2432-0803
DOI10.20746/jachn.13.1_76

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Summary:目的:自主グループが形成され,継続するプロセスを,住民と保健師の相互関係から分析し,保健師の支援のあり方を考察することを目的とした.方法:対象は65歳以上の一般高齢者向きの,保健所の筋力トレーニング教室の参加者が立ち上げた自主グループとした.データ収集は(1)事業記録,(2)参与観察,(3)インタビューとし,得られたデータを「住民の視点」,「保健師の視点」に整理した.分析には複線径路・等至性モデル(TEM)を用いた.結果:プロセスは4期に整理され,住民と保健師の相互関係で重要な場面であるOPP(必須通過点)は,第1期,第3期の2場面であった.第1期では,筋力トレーニング教室修了後も運動を続けたいという参加者のニーズを把握した保健師が,グループワークを設定し,グループでニーズを共有できる場を設定していた(OPP1).第2期では,保健師がサポートを申し出たことにより,グループ活動経験がある参加者が興味をもち,自主グループをつくることが決定された.第3期では,世話役の参加者から相談を受けた保健師が,自主グループで話し合う場を設定し,参加者どうしで世話役の交代について取り決めをした(OPP2).第4期では参加者はグループの課題について積極的に話し合うようになっており,保健師のサポートを必要としなかった.考察:保健師は住民との相互関係を保ちながら,足場づくりを行うファシリテーターとして機能していたことが見出された.
ISSN:1346-9657
2432-0803
DOI:10.20746/jachn.13.1_76