岐阜県下において分離された緑膿菌に関する疫学的検討-2004年
剤耐性緑膿菌が, 各地の医療施設で分離されるようになり, その動向が警戒されている。このような状況下, 各地域でのサーベイランスが重要であると考え, 岐阜県下における医療機関から分離された緑膿菌について検討した。岐阜県下の9施設・検査センターから分離された緑膿菌266株を対象として, 16薬剤について薬剤感受性を, 日本化学療法学会の微量液体希釈法により測定した。なお, imipenemのMIC16μg/mL以上, amikacinのMIC32μg/mL以上, ciprofioxacinのMIC4μg/mL以上の3つの条件を全て満たした緑膿菌の菌株を, 多剤耐性緑膿菌と判定した。岐阜県において...
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| Published in | The Japanese Journal of Antibiotics Vol. 59; no. 5; pp. 355 - 363 |
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| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
25.10.2006
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| ISSN | 0368-2781 2186-5477 |
| DOI | 10.11553/antibiotics1968b.59.355 |
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| Summary: | 剤耐性緑膿菌が, 各地の医療施設で分離されるようになり, その動向が警戒されている。このような状況下, 各地域でのサーベイランスが重要であると考え, 岐阜県下における医療機関から分離された緑膿菌について検討した。岐阜県下の9施設・検査センターから分離された緑膿菌266株を対象として, 16薬剤について薬剤感受性を, 日本化学療法学会の微量液体希釈法により測定した。なお, imipenemのMIC16μg/mL以上, amikacinのMIC32μg/mL以上, ciprofioxacinのMIC4μg/mL以上の3つの条件を全て満たした緑膿菌の菌株を, 多剤耐性緑膿菌と判定した。岐阜県において分離された緑膿菌に対する代表的な抗菌薬のMIC50およびMIC90は, それぞれ, piperacillinで4μg/mLおよび64μg/mL, amikacinで4μg/mLおよび8μg/mL, imipenemで1μg/mLおよび16μg/mL, ciprofioxacinで0.25μg/mLおよび8μg/MLであった。尿由来の菌株において, 分離株に対する各種抗菌薬の薬剤感受性が低下していることが認められ, ペニシリン系薬・セフェム系薬・フルオロキノロン系薬では顕著であった。今回の検討では, 多剤耐性緑膿菌は7株分離され, 7株の由来は, 尿由来5株, 喀痰由来2株であった。そのうちの3株は, arbekacinに対するMICが16μg/mLを示した。この結果から, 多剤耐性緑膿菌感染症の治療薬のひとつに, 抗MRSA薬として認可されているarbekacinが約半数の症例で有効性を示す可能性が示唆された。今後も定期的に, 各医療圏ごとに, アンチバイオグラムを作成し, それを利用することの重要性が強く示唆された。 |
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| ISSN: | 0368-2781 2186-5477 |
| DOI: | 10.11553/antibiotics1968b.59.355 |